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海洋プラスチック廃棄物を回収して動く56m級ヨット「The Manta」——プラスチックを収集してエネルギーに変換

仏NGOのThe SeaCleanersは、2021年1月26日、海洋に漂うプラスチック廃棄物を収集し、エネルギーに変換して動く巨大なカタマランヨット(双胴船)「The Manta」のより機能的な新設計を発表した。

The SeaCleanersは、船乗りであるYvan Bourgnon氏が、2016年に最後の単独世界一周航海をした際に目の当たりにした海洋プラスチック汚染に立ち向かうため、同年に設立したものだ。

The Mantaは、海水と一緒にえさとなるプランクトンを吸い込みえらでろ過して不要な海水を排出するマンタ(オニイトマキエイ)のように、海に浮遊するプラスチック廃棄物を吸い込む。水面に浮かんでいる大きな廃棄物は、2つの船体間に設置された回転式回収コンベアによってThe Mantaの中に取り込まれ、船上の廃棄物処理プラントに送られる。まず、分別ユニットでオペレーターが廃棄物の種類に応じて手作業で分別。金属、ガラス、アルミニウムは、陸に持ち帰って現地の廃棄物処理施設でリサイクルするため保管され、有機物は海に戻される。

プラスチック廃棄物は破砕されペレットに加工された後、廃棄物エネルギー変換ユニットに送られる。ここでペレットを高温で溶かして熱分解し、合成ガスに変換する。合成ガスはタービンを通過して電気を生成し、推進ユニットなど船内全ての機器に電力を供給する。

The Mantaの大きさは、長さ56.6m、幅26mで、風を最大限に取り込むために高さは62mとなっている。4年間の研究を経て、最初の想定より船のサイズが小さくなったことでエネルギー効率が向上し、制御しやすくなった。

また、The Mantaはハイブリッド推進装置と自動帆装装置を搭載しており、ソーラーパネルや風力タービンなどを活用した再生可能エネルギーも動力源とする。平均でエネルギー自給率75%を目標とする。

1時間に3トン、年間5000~1万トンの廃棄物を回収し、その全てを船上で処理することが可能だ。さらに、船内にはプラスチック汚染についての最先端の研究所も備える。

The Mantaは、2024年完成を目指しており、浮遊プラスチック廃棄物が集中している世界の主要な河口を訪れる予定だ。

fabcross for エンジニアより転載)

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