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無重力空間でも機能する蒸気圧縮冷凍サイクル式冷蔵庫のプロトタイプを作製

Purdue University photo/Jared Pike

米パデュー大学をはじめ、産業機器メーカーのAir Squared、家電メーカーのWhirlpoolは、無重力状態でも逆さまにしても機能する宇宙探査向け冷蔵庫を開発している。

宇宙食として携行する缶詰や乾燥食品は、保存期間が3年程度だという。今後の月や火星などへの有人探査を想定すると、食料をより長期間保存するための手段が必要になる。現在、ISS(国際宇宙ステーション)に冷凍冷蔵庫はあるものの、食料保存用ではなく実験やサンプル保存用として使われている。また、消費エネルギーも地上で使うような冷蔵庫と比べるとかなり大きい。

「宇宙飛行士には、より高品質で持ち運べる食料が必要だ。そこで冷蔵庫の出番となるが、これは宇宙用途としてはまだ比較的新しい技術だ」と、Eckhard Groll教授は語る。

今回のプロジェクトでは、多くの家庭用冷蔵庫と同じ「蒸気圧縮冷凍サイクル」を採用している。ただし、そのままでは宇宙空間では使用できない。「一般的な冷蔵庫では、重力が液体と蒸気を所定の場所に留めている。冷蔵庫で使用するコンプレッサーの潤滑油システムも重力をベースとしている。宇宙向けとしては、システム全体に無重力下での信頼性を持たせることが重要だ」と、博士課程学生のLeon Brendel氏は語る。

研究チームは、ISSでの利用を想定し、電子レンジ大のプロトタイプを作製した。無重力でも稼働できるように、新たに開発したオイルフリーのコンプレッサーを搭載している。さらに、もう2種類の実験機を作製。1つは、プロトタイプを大型化したもので、重力が冷却サイクルにどう作用するか把握するために、センサーや観測装置を取り付けている。残りの1つは、液体の流れが冷蔵庫に損傷を与えないか、脆弱性を試験するものだ。

研究チームは事前検証として、実験室でプロトタイプの大型版を上下左右に回転しながら、冷却能力についてテストしている。「地上では実験用の微小重力を探し出せないが、冷蔵庫を回転させれば、重力方向を相対的に変えられる」とBrendel氏は語る。冷蔵庫が重力や設置方向に関わらず機能すると分かれば、探査機にも搭載しやすいだろう。

fabcross for エンジニアより転載)

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