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光をあてるだけで、色や模様が短時間で変わる技術「ChromoUpdate」

Image: courtesy of the researchers

MITの研究チームが、光を一瞬あてるだけで物体表面の色と模様を変える技術「ChromoUpdate」を開発した。物体表面にフォトクロミック染料を塗布し、UV光線および可視光線プロジェクターを用いて塗料の光学特性を変化させることにより、所望の色彩と模様を数分で出現させることができる。スマートフォンケースやマグカップの表面、将来的には自動車の塗装や衣料品の色や柄をデザインする際に、実物大試作品で何種類ものデザインを短時間で試すことができるようになるなど、広汎な分野におけるデザインプロセスを効率化すると期待される。研究成果は、2021年5月8日~13日にオンライン開催された、米国コンピューター学会ACMの「Human Factors in Computing Systems会議」で発表されている。

光の照射によって材料の色を一瞬に変化させることができるフォトクロミック材料は古くから知られている。近年では有機系フォトクロミック化合物が開発され、サングラスや窓ガラスの調光材料、化粧品、印刷インク、玩具、接着剤などに使われ始めている。2つの光学異性体が光によって可逆的に結合の組み替えを生じ、光照射前後で色が変化する。例えば、紫外域に光吸収帯がある無色の異性体Aに紫外線を照射すると、化学結合の組み替えが生じ、可視域に光吸収帯がある着色した異性体Bに変化する。一方、異性体Bは可視光の照射によって、元の無色の異性体Aへ可逆的に変化する。

研究チームはフォトクロミック材料に着目して、物体表面に高精細のマルチカラーの模様を、何度でも再現また変更できるシステムの開発にチャレンジしてきた。このほど、物体表面に塗布されたフォトクロミック染料と、高精細な画素ごとにフォトクロミック反応を制御できるUV光線および可視光線プロジェクターを組合わせて、再プログラム可能なシステムの開発に成功した。色の3原色(シアン、マゼンタ、イエロー)を示すフォトクロミック染料から構成される混合インクを物体表面に塗布し、UV光線プロジェクターによって各染料を活性化し発色させる。次に、可視光線プロジェクターによってプログラム画像を照射すると、画素ごとの色の波長に対応して3原色の各々の染料が非活性化され、結果としてプログラム画像がそのまま再現される。プロジェクターでは、画素ごとに色素の活性化および非活性化の程度を制御できるので、高精細な模様と色彩が再現されるという仕組みだ。

スマートフォンケースやマグカップの表面デザインでは、白黒プレビューであれば数秒で、フルカラーでは数分で画像を再現できることを確認している。画像の再現は可逆的に実行できるので、異なったデザインを何度でも簡便に試すことができ、また実物大プロトタイプにおいて実施できるので、単なるコンピューター上での再現と異なり、実体的なデザイン評価が可能であり、デザインプロセスの効率化を達成できる。研究チームは、フレキシブルな織物や衣服に適用し、アパレルのデザインプロセスに導入する研究も行っている。

fabcross for エンジニアより転載)

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