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NASA、月の表層土を模した材料を使う3Dプリンティング実証試験を開始

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、無人宇宙補給船「Cygnus」で国際宇宙ステーション(ISS)に機材を運び、月の表層土を模した材料を使う3Dプリンティングの実証試験を開始した。

月の表面はほぼ全てが、レゴリスと呼ばれる細かい堆積物の層に覆われている。月のレゴリスとは、岩石由来の細かい粒子や微小天体の衝突により生じたガラス片等がゆるく積もったものだ。これを材料にして構造物や居住施設を造ることができれば、地球から月へ運ぶ資材を減らして、打ち上げ重量とコストを大幅に削減できる。

NASAはこの点に着目し、将来の深宇宙探査を見据えて、その場にある資源から必要な資材を作り出して調達する「in-situ resource utilization(ISRU/現地資源利用)」という手法を確立しようとしている。月については、「Lunar Surface Innovation Initiative(月面イノベーション計画)」で、月にある資源から水や燃料などの補給物資生成に加え、構造物の建造能力の開発と実証が予定されている。月の表層土を模した材料を使う3Dプリンティングはその一環として行われる実証試験だ

実験に使用されるのは、Made In Space製3Dプリンター「Additive Manufacturing Facility(AMF)」だ。AMFは地球低軌道での使用を目的とした商用3Dプリンターで、2016年からISSで使用されており、既に200以上の工具や部品を軌道上で作製している。Made In Spaceは2020年6月にRedwireに買収されたため、プロジェクト名は「Redwire Regolith Print(RRP)」となっている。

RRPプロジェクトは、レゴリスの模擬材料を使って微小重力環境下で3Dプリントした試料を地上へ持ち帰り分析することと、打ち上げ前に地上で3Dプリントした試料と比較調査することを目的としている。地上と微小重力環境下の両方で稼働させることにより、1Gより小さい重力の惑星で使用する場合のプロセスを確認できる。

Cygnusは2021年8月10日(現地時間)にバージニア州の施設から打ち上げられ、8月12日にISSに到達。約3カ月間係留され、さまざまな研究や実験が行われる予定だ。今回のミッションのCygnusには、1986年のスペースシャトル「Challenger」爆発事故で亡くなった日系宇宙飛行士、Ellison Onizuka氏の名前が付けられている。

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