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ナノカーボン微粒子による発電方法を開発——有機溶媒との相互作用を利用

Image: Jose-Luis Olivares, MIT. Based on a figure courtesy of the researchers.

マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームが、粉砕したカーボンナノチューブ(CNT)が周囲の有機溶媒と相互作用することで電流を発生させる方法を発見した。研究成果は、化学反応促進用リアクターや、マイクロまたはナノスケールロボットのパワー源として使える可能性がある。

今回の研究は従来のCNT研究を発展させたものだという。CNT微粒子を部分的にテフロン等の高分子で覆い有機溶媒に浸すと、微粒子の覆った部分から覆っていない部分へ電子が流れるというものである。

具体的には、CNTを粉砕し熱プレスでシート状の材料に成型。そして、シートの片面をテフロン等の高分子で覆い、シートをさまざまな形やサイズの微粒子にカットする。研究では、例として0.5×0.25×0.25mmの大きさの微粒子を作製している。これらの微粒子をアセトニトリルのような有機溶媒に浸した時、溶媒分子が高分子で覆われていない表面に付着し、微粒子から電子を引き抜きはじめる。溶媒が電子を引き抜き、電子が移動することで、システムが平衡になろうとする。

現時点では、1微粒子あたり約0.7Vの電圧が発生可能である。研究では、小さなテストチューブの中で数百の微粒子が配列を作ることも示した。これは、化学反応を起こすリアクターとして働き、アルコールの酸化反応に十分なエネルギーを供給する。さらに、リアクターは非常にコンパクトなため、大きな電気化学リアクターよりフレキシビリティ面で応用が利く。

研究チームは将来、このシステムをマイクロまたはナノスケールロボットのエネルギー供給源として用いることを計画しており、診断や環境センサに用いることができると考えている。「周りの環境からエネルギーを採取するアイデアは、制御回路に電源を入れる必要がないという点で魅力的である」と研究チームリーダーのStrano氏は述べている。

研究の成果は、2021年6月7日付で『Nature Communications』誌に掲載されている。

fabcross for エンジニアより転載)

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