NASAのインターンが宇宙用洗濯機の設計に挑戦——宇宙ステーションでテストされる装置に影響を与える可能性も
2021/10/19 07:30
アメリカ航空宇宙局(NASA)は、2021年7月30日、NASAのグレン研究所で夏期インターンたちを対象に宇宙用洗濯機を開発するデザインチャレンジを実施したと発表した。
宇宙にはまだ洗濯機がない。宇宙飛行士が国際宇宙ステーションに持ち込む衣類は小さなスーツケース2個分だけで、時には同じ下着を1週間続けて着用していることもある。宇宙飛行士は地上での生活と同じように服を汚すことはないが、それでも服は汗にまみれたり汚れたりする。使用済み衣類は洗濯されず、大気中で燃えつきる船に搭載されて廃棄される。
そこで今回、メンターが率いる6つのインターンチームが、2021年6月25日から7月1日まで、宇宙用洗濯機の概念的な部品を設計した。コスト、設置スペース、資源などの問題を調整し、各チームはチャレンジ最終日にNASAの審査員にコンセプトを発表した。
Best Design Award に加え、最も便利で印象的な設計ビジュアルからImagery Awardを受賞したのはAgitation Rollers(かくはんローラー)チームだ。ばねを搭載し、微小重力下で汚れた衣服を回転させて放出するコークスクリュー装置「SLUSH(Screw-Like Undirtying Spinning Hardware)」を設計した。
また、Dirty Water Removal Rollers(汚水除去ローラー)チームが、最も創造性を発揮したとしてInnovators Award を受賞。磁石と毛細管現象を利用して余分な水分を絞り出すローラー「DRUM (Drying Roller Ultra-Convenient Machine)」を設計した。
さらに、一部の人工衛星に搭載されているArduinoを使用する制御システムを設計したチームは、最も現実的で完全に設計されたコンセプトであるとしてReady for Production Awardを受賞した。その他の3チームもそれぞれ賞が授与された。
インターンが出したアイデアは、将来の長期ミッションで使用するために、宇宙ステーションでテストされる装置に影響を与える可能性があるという。
同研究所主催のインターンを対象とするデザインチャレンジは今回で3回目。洗濯機のアイデアは、高校生対象でシンプルだった以前の課題をスケールアップしたものだ。NASAは今後、より多くの学生にこのチャレンジを拡大していく予定だ。
(fabcross for エンジニアより転載)