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折り紙技術で7.5倍に展開——過酷な環境で2人が過ごせる月面居住モジュール「LUNARK」

かつて人類が月に降り立ったアポロ計画から半世紀が過ぎたが、世界各国の宇宙開発は再び月に向かおうとしている。そうした中、デンマークの宇宙建築家Sebastian Aristotelis氏とKarl-Johan Sørensen氏が設立したSAGA space architectsは、月面や地球の極地といった過酷な環境に耐えることができ、2人の宇宙飛行士が快適に過ごせる居住モジュール「LUNARK」を開発している。

宇宙飛行士によって容易に設置でき、かつ運搬に必要なスペースを最小とするため、LUNARKの構造には折り紙の技術が使われている。格納時は壁面を折りたたんで2.23m四方の立方体コンテナに収容できるが、設置時にはあたかも蕾が開花するように展開し、容積は750%まで拡張、2人分の居住スペースを確保する。

外壁のソーラーパネルで居住に必要な全てのエネルギーを供給できるという。室内は住みやすさへの拘りを追求し、二人分のワークデスク、ベッド、ヒーター、トイレ、補修部品製作用3Dプリンター、さらには居住者の生活リズムを保てる照明システムなどを備えている。その他、廃棄物のリサイクル、藻類リアクターによる栄養源、有機的環境などにも配慮している。

SAGAは、北極に近く、地球上で最も過酷な気候条件となるグリーンランド北部で、約2カ月間にわたるLUNARKの居住実験を行い、気温-40℃、最大風速90km/hにも耐えることを確認した。この実験結果は、LUNARKの構造設計面のみならず居住者が肉体的にも精神的にも快適に過ごせる環境設計面の改善に生かされる。

LUNARKの開発からグリーンランドでの実験、今後のプロジェクトの動向などは、近くドキュメンタリー番組として公開されるとSAGAは発表している。

fabcross for エンジニアより転載)

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