コストを10分の1に——Raspberry Pi採用の簡易型地震計測システムを飛島建設が開発
2022/01/20 17:40
飛島建設は、Raspberry PiとMEMSセンサーを利用した簡易型地震計測システムを開発し、日本石油販売と共に事務所ビル2棟にて実証試験を開始した。
従来の地震計では、地震動を計測する高精度のセンサーに加え、加速度信号を記録するロガーや制御/分析用のパソコンなどの周辺機器が必要となる。システム構築費、設置工事や調整作業費なども考慮すると300~1000万円程度の初期費用が発生する可能性がある。また、ある程度の設置スペースが必要になり、測定器ごとの保守点検のコストもかかるため、既存建物への導入はハードルが高かった。
そこで飛鳥建設はRaspberry PiとMEMS加速度センサーを組み合わせることで、安価で小型なネットワーク地震計を開発。従来の10分の1ほどのコストで地震計測システムを導入可能となった。
同システムは、複数台での時間同期やトリガー設定による強震計測の開始など、いくつかの計測用プログラムが実装され、デバイス内で計測/記録/制御/分析を担う。サイズも小さく設置スペースを抑えられ、1~2時間程度の設置工事で地震計測システムを導入できる。
実証試験では、高性能サーボ型地震計と同じ条件で地震動を計測し、両者を比較。測定結果から、サーボ型地震計とほぼ同等の強震観測ができると評価した。さらに飛鳥建設は、この簡易型地震計測システムのデータを、建物オーナー向けの会員サイトでリアルタイムに確認できるように、連携機能の開発に取り組んでいく考えだ。