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老眼鏡を不要にする点眼薬「VUITY」がFDAに承認される

老眼の症状を改善する目薬「VUITY」が、2021年10月に米国食品医薬品局(FDA)に承認された。老眼に悩む世界中の人々の生活を変えるかもしれない。

老眼は加齢に伴い近距離のものにピントを合わせづらくなる症状で、一般的に40歳以上で発症する。アメリカでは40歳以上の人の約半数が症状を抱えているといわれている。近くのものを見るとき、人は眼の奥にある水晶体のレンズの形を変えて網膜に光を集めることで見えやすくなるように調節しているが、老化すると水晶体が硬くなって変形しづらくなり、老眼になる。

VUITYは、眼が本来持っている瞳孔を小さくする機能を利用して、遠くを見る視力を維持したまま近距離の視力を向上させるものだ。瞳孔が小さくなることで、被写界深度や焦点深度が広がり、自然と異なる範囲に焦点を合わせられるようになるという。

VUITYの有効成分は、眼科治療薬としてすでに使用実績があるピロカルピン。40〜55歳の老眼の持つ750人を対象とした2つの臨床試験で老眼に対する有効性が示され、今回の承認へとつながった。臨床試験において重篤な副作用は認められなかったが、5%以上の被験者に頭痛や目の充血などが生じた。使用にあたっては、夜間の運転や暗い場所での危険な作業をする際は注意するように指示されている。

VUITYは、アメリカのバイオ医薬品大手アッヴィが2019年に買収して子会社化したアイルランドのアラガンが開発。30日分の価格は約80ドル(約9000円)だ。点眼後約15分で効果が現れ、6〜15時間にわたり効果が持続するという。コンクタクトレンズを使用している人は、裸眼の状態で点眼し、10分経過すればコンタクトレンズを装着できる。

現時点では医療保険の適用外で、医師たちによると老眼鏡のほうが費用対応効果は高いため、今後も医療保険の適用はないだろうとのことだ。

fabcross for エンジニアより転載)

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