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「見えないものにはなれない」——学生をSTEM分野に引き付けるには、なりたいと思える成功者の存在が重要

「あの人のようになりたい!」そう思える人物が身の回りや社会にいると、将来の目標が立てやすくなったり、仕事や勉強に対してもモチベーションが上がるだろう。児童保護基金を立ち上げたマリアン・ライト・エデルマン氏が広めた「見えないものには、なれない(You can’t be what you can’t see.)」という言葉にも、ロールモデルの重要性が表れている。

STEM人材の育成が求められる現在、性別や人種に関わらずさまざまな学生をSTEM分野へ引きつけるためにも、ロールモデルの存在が重要視されている。ただし、どのロールモデルがどの学生に効果的かはっきりしていない。ニューヨーク大学の研究チームは、過去に発表された50本以上の文献を再考察して、学生の保護者や教師、さらには政策立案者に向けて、以下のような4つのロールモデルを提案している。

1.「有能で成功しているロールモデル」
ただし、スーパーヒーローのように極端なロールモデルは裏目に出て、「自分には真似できそうにない」と学生たちの意欲を削いでしまい、別の道を探す可能性があるので注意が必要だ。

2.「自分と似ているロールモデル」
ロールモデルは生まれながらの天才ではなく、努力して成功したとか、暇なときは普通の人と同じように過ごしているなど、学生との類似性を強調したり考えさせたりすることで、学生のモチベーションが上がる。

3.「STEM分野で従来から少数しか存在しない集団に属するロールモデル」
どんな学生に対してもプラスの効果を与える可能性がある。ただし、少数派ゆえに、ロールモデル側に余計な負担をかけないよう、対面ではなく映像や印刷物を通して、より多くの学生に紹介することを推奨している。

4.「達成可能な成功を収めているロールモデル」
ロールモデルが成し遂げたことをどうやったら学生もできるかを明確に示す必要がある。研究チームによれば、学生のやる気を削ぐ最大の原因は、ロールモデルの成功が学生たちにとって達成不可能と受け取られることだという。

研究結果は、2021年12月2日付けの『International Journal of STEM Education』に掲載されている。

fabcross for エンジニアより転載)

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