3Dプリントすると焼きたてパンの香り?——廃棄小麦ふすまが素材のフィラメント「GF3D Branfill3d」
2022/02/25 07:30
ポーランドのGREENFILL3Dが、小麦粒の表皮部分である小麦ふすま(小麦ブラン)を材料に使用した3Dプリンター用フィラメント「GF3D Branfill3d」を発表した。小麦由来のため、造形時にはパンが焼けるような匂いが漂い、その香りは造形後もしばらくは残るようだ。
GREENFILL3Dは、天然素材をベースにした3Dプリンティングソリューションを開発しているスタートアップだ。3Dプリンティング分野での「廃棄物ゼロ」と、日用品製造における環境に優しい新基準の構築を目指している。ポーランドの大手飲料食品メーカーMASPEX Groupと共同で、パスタの製造工程で廃棄される小麦ふすまを素材にしたフィラメントを開発し、パスタ製品を陳列する店頭用広告スタンドの一部を実際に3Dプリントした。
GF3D Branfill3dの材料は、小麦ふすまとPLA、そして完全生分解性材料だ。MASPEX Groupから提供された小麦ふすまはふるいにかけられ、小麦ふすまは非常に吸湿性が高いため水分がほとんどなくなるまでしっかりと乾燥させる。その後、他の材料と混ぜて3Dプリンター用フィラメントに加工される。
食物繊維を含む小麦ふすまのおかげで、GF3D Branfill3dで3Dプリントしたパーツは、弾力性とある程度の柔軟性を備えているため壊れにくく、表面仕上げも滑らかだ。同社は、パスタ製造時に出る残骸を使ってパスタ陳列用スタンドを作ることで、従来は処分されてきた生産廃棄物が、結果的に商品販売促進用ツールの製造に活用できることを示したとしている。
GF3D Branfill3dは、日用品や装飾品だけでなく、産業製品にも使える可能性を秘めている。同社は現在、自動車向け用途のテストを進めているほか、他の産業分野でもテストをしていく予定だ。