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人工衛星の心臓部に市販のLinuxマイコンボードを使用──高専衛星「KOSEN-1」が宇宙技術実証に成功

国立高等専門学校機構は2022年3月25日、高知工業高等専門学校を中心とする10高専が開発した超小型人工衛星「KOSEN-1」の宇宙技術実証に成功したと発表した。

KOSEN-1衛星は、木星から放射される自然電波を観測するための技術実証を目的としている。2018年12月にJAXAの革新的衛星技術実証2号機の実証テーマに選定され、高専生を中心に2年半をかけて開発し、JAXAのイプシロンロケット5号機により2021年11月9日に打ち上げられた。

KOSEN-1衛星は10センチ四方の立方体型ユニット(キューブサット)を縦に2つ重ねており、寸法は100×100×230mm、重量は2.6kgの超小型衛星だ。

同衛星はキューブサットにおける3つの宇宙技術実証を目指しており、今回は最初の技術実証として衛星の心臓部となるOBC(Onboard Computer)に市販のLinuxマイコンボードを使用し、常時運用するという技術実証を行った。加えて、OBCと連動した搭載カメラによる地球の写真撮影にも成功した。

OBCにLinuxマイコンボードとして小型で低消費電力なRaspberry Pi Compute Module 1(CM1)を採用することで、LinuxのOS上でのリソースが使用可能となった。また、市販のCM1ボードを使用することで、OBCのハード面でのシミュレーションも実行しやすくなった。また、ソフト開発においては、CM1ボードを使って開発するプログラムをインターネット上で共有する形で実施し、多くの高専生が参加できる分散型の開発体制を構築した。

並行して、Raspberry Piを活用した作品やアイデアを競う「みんなのラズパイコンテスト2021」(主催:ラズパイマガジン、日経Linux、日経ソフトウエア)に、KOSEN-1チームとして「ラズパイ衛星KOSEN-1」というタイトルで応募。2021年11月23日に各賞が発表され、ラズパイ衛星KOSEN-1は特別賞に選出されている。

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