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印刷可能な高性能ペロブスカイト型トランジスタを開発

現在主流となっているシリコンを材料とした半導体は、製造において高コストの機械や設備を必要とする。また、製造時の使用電力も大きいため、環境負荷の高さが問題視されている。対して、ペロブスカイト半導体は塗布プロセスによって簡単に製造が可能なため、低コストで環境負荷が低く、次世代の半導体として期待されている。

韓国の浦項工科大学校(Pohang University of Science and Technology、POSTECH)のYong-Young Noh教授等が率いる研究チームは、成均館大学校のMyung-Gil Kim教授と共同で無機ハロゲン化金属ペロブスカイトを使ったp型半導体トランジスタの性能を向上させた。技術の最大の特徴は、溶液処理したペロブスカイトトランジスタを簡易に印刷することができる点である。

ペロブスカイト型トランジスタは、p型半導体とn型半導体を組み合わせることで電流を制御する。これまで盛んに研究されてきたn型半導体に比べ、高性能のp型半導体の製造が課題となっていた。ペロブスカイトのp型半導体への応用は多くの研究者によって試みられてきたが、電気的特性や再現性の低さが実用化の妨げになっていた。

この課題を克服するため、研究者らは改良した三ヨウ化セシウムスズ(CsSnI3)を用いてp型ペロブスカイト半導体を開発し、これをベースに高性能トランジスタを作製した。このトランジスタは、50cm2/Vs以上の高い正孔移動度と10の8乗以上のオン・オフ電流比を示し、これまで開発されたペロブスカイト半導体トランジスタの中での最高性能を記録した。また、材料を溶液化することで、文書を印刷するように簡単に、p型半導体トランジスタを印刷することに成功した。この方法は利便性が高いだけでなく、コスト面でも優れているため、将来的にはペロブスカイト型デバイスの実用化につながる可能性がある。

「開発した半導体材料とトランジスタは、ハイエンドディスプレイやウェアラブル電子機器の論理回路として広く応用できるほか、シリコン半導体と垂直に積み重ねることで積層型電子回路や光電子デバイスにも応用することができる」と、Yong-Young Noh教授は研究の意義について説明している。

fabcross for エンジニアより転載)

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