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3Dプリンターでコンパクトかつ高性能な熱交換器を製作——サイズは10分の1、効果は50%アップ

英グラスゴー大学のエンジニアが率いる研究チームは、表面構造の特性を利用した、小型で高性能な熱交換器を開発した。プロトタイプシステムの開発/製造方法については『Applied Thermal Engineering』誌に投稿した論文に掲載されている。

このシステムの有効性は、熱交換器を通る液体が流れる、表面構造の設計に由来するという。キューブ型の熱交換器は、ジャイロイド状に配置された微小な穴がちりばめられたコアを通して水を引き込む。熱交換の効率は表面積に比例するため、研究チームは熱交換器に繰り返しジャイロイド構造を適用した。

高性能3Dプリンターにより、一辺が32.2mm、重さ8gのコンパクトな立方体に大きな表面積を持たせたのが、このマイクロスケールのジャイロイドのデザインである。1分間に100~270mlの速度で熱交換器に水を流すと、10~20℃の温度変化を確認することができたという。

研究チームは、この新しい熱交換器の熱伝達率を測定し、ポリマーや金属などの材料で作られたサイズの異なる従来の熱交換器との性能を比較検討した。その結果、熱力学的に同等で最も効率のよい向流式熱交換器に比べ、開発した新型熱交換器のサイズはわずか10分の1であったにもかかわらず、その効果は50%も高いことが判明した。

研究チームは、数年前からこのようなマイクロアーキテクチャの3Dプリント格子構造の新たな用途を研究しており、すでにリサイクル可能な高性能バッテリーや、義肢や背中の装具など未来のスマート医療機器の開発といった目的で利用できることを実証しているという。

研究チームを率いるShanmugam Kumar博士は「ジャイロイド格子構造を用いて、熱交換に適した非常に大きな表面積/体積比を持つ材料を作れることが示せました。より小さく、軽く、効率のよい熱交換器を開発できれば、少ない電力で作動する冷凍機や、より効率的に冷却できる高性能エンジンの開発に役立つでしょう。今後の研究によって、この技術をさらに発展させたいと考えています」と語っている。

fabcross for エンジニアより転載)

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