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光合成でパソコンを動かす——シアノバクテリアを使う「光合成電池」を開発

ケンブリッジ大学の研究チームは、シアノバクテリア(藍藻)の光合成を利用して、光と水だけでマイクロプロセッサに半年以上連続的に電力を供給することに成功した。この光合成電池は単三電池と同等の大きさで、光をエネルギー源として利用するため一般的な電池のように消耗することがない。また、安価で一般的な材料を用いており、ほとんどがリサイクル可能だ。研究成果は『Energy & Environmental Science』誌に2022年5月12日付で公開されている。

光合成電池にはシネコシスティス属のシアノバクテリアが用いられた。シアノバクテリアは光合成により酸素を発生する細菌の一種で、アオコの原因となる。

研究チームは、陽極としてアルミニウムを使用した透明プラスチック製容器でシアノバクテリアを培養し、シアノバクテリアが生成する微弱な電流をマイクロプロセッサに供給することに成功した。光合成電池は、自然光とそれに伴う温度変化がある屋内と半屋外の条件に置き、半年以上連続発電できることを確認した。シアノバクテリアは光合成の際に自分で栄養源を生成するため、エサを与える必要がない。また光がないときは栄養源を消費することで、暗闇の中でも電力を作り続けられる。

電流の発生メカニズムとしては、シアノバクテリア自身が電子を生成するか、容器内のアルミニウム陽極が化学反応により腐食して電子を生成するかの2つの可能性がある。しかし、今回の実験では陽極が大きく劣化することなく発電が続けられたため、研究者らはシアノバクテリア自身が電流の大半を生成していると考えている。

この光合成電池をスケールアップすることは可能だが、現在のところ屋根に一つ設置して家庭内の電力全てを賄うようなことはできないという。しかし、途上国の農村部などで、環境センサーや携帯電話の充電など、少量のエネルギーが必要な際に有用だ。世界中でIoTデバイスは増え続けており、バッテリーのように電気を貯蔵するだけでなく、安価にエネルギーを生成できる、持続可能な分散型エネルギー生成システムが求められている。

今回開発したシアノバクテリアを用いた光合成電池は、小型デバイスの再生可能な電力供給方法として期待される。より効率よく電流を発生する他の種類の藻類も見つかっており、研究チームは5年以内には商業的な応用が可能になると考えている。

fabcross for エンジニアより転載)

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