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ディーゼルエンジンの排ガスを浄化する——新しいNOx還元材料を開発

サウスウエスト・リサーチ・インスティテュート(SwRI)は、大型ディーゼルトラックからの排出ガスを浄化する新しい材料「CAT-DEF(Catalyzed Diesel Exhaust Fluid)」を開発した。これにより、カリフォルニア州大気資源局(CARB)の定める、窒素酸化物(NOx)排出量の厳しい2027年基準に適合できることを実証した。研究結果は、2022年4月5日~7日にデトロイトで開催された、米国自動車技術者協会主催の世界会議「WCX 2022 World Congress Experience」で発表された。

現在主流のディーゼルエンジンの排出ガス浄化装置の1つに、高品位尿素水のディーゼルエグゾーストフルード(DEF)と選択的触媒還元(SCR)技術を利用した、尿素SCRと呼ばれるNOx排出抑制システムがある。排気ガス中に噴射されたDEFは分解してアンモニアを生成し、このアンモニアがSCR触媒を介してNOxを窒素と水に変換し、排ガス中のNOX濃度を大幅に低減する。

ただし、現在のプロセスでは排気ガス温度が250℃以下になると、後処理システム中に尿素由来の堆積物が形成されるため、DEFの噴射が制限され、NOxの変換が妨げられるという問題がある。逆に250℃を超えると変換効率は高いが、燃料消費量も多くなる。「DEF技術は10年以上も使われてきたが、最高効率の排出抑制を実現できなかった。それというのも、エンジンの負荷と温度が低い場合、DEFが排気システム中に有害な恐れのある堆積物を生成する傾向があるからだ」と、商用車両システム部門のディレクターであるCharles E. Roberts Jr博士は語る。

そこで研究チームは、排気システムにおいて好ましくない堆積物を大幅に減らし、NOxおよび二酸化炭素の排出を削減するため、DEFを触媒と界面活性剤で修飾したCAT-DEFを開発した。尿素堆積物を90%、可能性としては最大98%削減できるという。また、さまざまな条件でのエンジン動作に対応可能で、NOxを90%、燃料消費量を2%削減できるとしている。

CARBは、2020年に「大型車両低NOxオムニバス規制」を採択した。その中で、大型ディーゼルトラックからのNOx排出基準を2027年には2020年比で90%削減することとしている。ディーゼルエンジンにCAT-DEFまたは従来のDEFを使用して効果を直接比較したところ、従来のDEFがCARBの定める2027年NOx基準を満たせないのに対して、CAT-DEFは新基準を満たすもしくは上回る結果を得た。

より排出規制が厳しくなる将来、ディーゼルエンジン業界およびDEFメーカーはハードウェアの改良を検討すると予想されるが、CAT-DEFは、ハードウェアを変更することなく、低コストで既存のエンジンに利用できるとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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