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3Dプリンターの廃棄物を再利用した炭素繊維強化プラスチックを開発

アラブ首長国連邦大学の研究チームが、3Dプリントで余ったPLA(ポリ乳酸)と炭素繊維の廃棄物を使用したリサイクル複合材料を開発した。

100年以上前にプラスチックが発明されて以来、プラスチックの消費量は増加し続けており、人類や地球の生態系にとって重大な廃棄物汚染に対する課題が突きつけられている。特に近年は、持続可能な社会の実現に「グリーンイニシアチブ」が推進されており、3Dプリントで余るPLAなどのポリマー廃棄物を再活用する技術が注目されている。

PLAは、糖発酵過程で得られる乳酸を使用して作られるバイオポリマーで、生分解性を有しており、原油由来ポリマーの代替品として開発された。デスクトップ3Dプリンター分野で最も広く使われているポリマーであるだけでなく、包装や使い捨てカップなどのさまざまな用途に使用されている。費用対効果が良く、3Dプリントも容易だが、PLAだけの状態では熱的/機械的安定性が低いため、高性能な用途には適さない。

一方、炭素繊維複合材料は、機械的特性と耐熱性の両方に優れているため、PLAの特性を改善する方法の1つとして考えられる。

研究チームは、リサイクル複合材料を作るために、3Dプリンターで余ったPLA廃棄物とシート状の炭素繊維廃棄物を集め、両廃棄物を細断/粉砕し、炭素繊維の割合を変えて溶融混合した。

複合材を使用して試験片を作製し、機械的特性を評価した結果、炭素繊維は概して PLA の強度を向上させ、20%の炭素繊維複合材料が最も高い強度を示した。しかし、強化率が高いほど、材料の延性に負の影響を与えることも分かった。

同研究は、PLAと炭素繊維の両方を同時にリサイクルして特性を調整できるグリーンコンポジットを開発できることを実証した。研究チームは、同研究がリサイクル複合材料をより効率的に製造する方法を研究するための足掛かりになることを期待している。

fabcross for エンジニアより転載)

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