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米国防総省、2024年までに輸送可能な原子炉の実用化を目指す

(注)イメージ図

米国防総省 戦略能力局は、輸送可能な小型原子炉であるマイクロリアクターの実用化を目指す「Project Pele」を進めている。その試作機を製造する米BWX Technologies(BWXT)は2022年6月9日、約3億ドル(約410億円)の契約を獲得したと発表した。

BWXTのマイクロリアクターは、出力レベルが1~5MWeの高温ガス炉だ。高純度低濃縮ウラン(HALEU)の一種であるTRISO燃料を使用する。その特徴は高温への高い耐性と、非常に低い環境リスクだという。炉の制御システムは、輸送中を含めたあらゆる条件下での安全性を確保し、原子炉の運転条件を超える温度での試験と検証を通過した。

マイクロリアクター全体は、ISO準拠で長さ20フィート(6m)のCONEX製の輸送コンテナに格納できる。これにより道路、鉄道、海上、航空いずれの輸送手段でも安全かつ迅速な移動に対応する。設置時は、現地での組み立てを含めて72時間以内に稼働開始する。撤去時は、炉のシャットダウン、冷却、切り離し、搬出までを7日以内で完了する。

BWXTは試作機を、2024年にアイダホ国立研究所に納入する。同研究所は最長3年間の試験を通して、性能と操作性を確認する。具体的には原子炉が発電した電力を、実運用環境の負荷を模した「負荷バンク」に送電し、原子炉の信頼性を検証する。さらに、システムの分解と再組み立てにより可搬性を実証する。

輸送可能なマイクロリアクターの利用先は、国防総省以外にもある。例えば災害対応や復旧、遠隔地での発電、脱炭素化への取り組みなど、ゼロカーボンのエネルギーの供給先として多様な商業利用の可能性がある。

fabcross for エンジニアより転載)

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