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ペロブスカイト/シリコンのタンデム型太陽電池が効率30%の壁を破り、世界記録を樹立

Credit: D. Türkay / C. Wolff (EPFL)

スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究チームが、エレクトロニクスのイノベーションセンターであるCSEMと連携し、効率30%を超えるペロブスカイト/シリコンのタンデム型太陽電池開発に成功した。同研究成果は、アメリカの再生可能エネルギー研究所により認定された。

今日最も普及している太陽電池はシリコンを使用したものであり、効率の理論限界は約29%と言われている。この限界を超えるために、シリコン太陽電池の欠点を補うペロブスカイトを加えた「タンデム型」太陽電池が注目されている。太陽光のうち、エネルギーの高い可視光は上方のペロブスカイト層に吸収され、エネルギーの低い赤外線は下方にあるシリコン層に吸収される。ペロブスカイトは、シリコン単体に比べて可視光をより効率的に電力に変換でき、製造コストも過度に増加させないという。

今回研究チームは、2種類のペロブスカイト/シリコン・タンデム型太陽電池の効率を向上させることに成功した。1つ目は材料と製造技術を工夫して、平坦なシリコン表面に高品質のペロブスカイト層を溶液から堆積させ、1cm²のセルで30.93%の効率を達成した。2つ目は、気相法と液相法のハイブリッドアプローチを使用して、テクスチャー加工したシリコン表面にペロブスカイトを堆積させ、同じく1cm²のセルで31.25%の効率を達成した。2種類のペロブスカイト/シリコン・タンデム型太陽電池効率の世界新記録を樹立したことになる。

EPFL太陽光発電研究所とCSEM持続可能エネルギーセンターのChristophe Ballif所長は「30%の効率は、III-V族半導体ですでに達成されていました。しかし、これらの材料や製造過程にかかるコストは、シリコン太陽電池の1000倍にもなります。今回の研究成果は、低コストの材料と製造で30%の障壁を克服できることを初めて示し、太陽光発電の未来に新しい展望を開きます」と説明した。

また、EPFLの研究員Christian Wolff氏は、「ペロブスカイト/シリコンのタンデム技術は、効率基準30%を超える可能性があると言われてきました。今回初めて、長年予測されてきた性能を実証でき、将来、さらに安価で持続可能な電力への道が開けると期待しています」と述べた。

fabcross for エンジニアより転載)

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