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銅とポリマーのコーティングによる電子機器の安価で高効率な冷却装置を開発

コンピューターなどの電子機器は熱を発生するため、冷却装置が必要となる。熱を十分に放散できなければ、電子機器のパフォーマンスは低下し、ひいては熱暴走などの誤動作を引き起こし、周辺機器の破損の恐れも生じる。

米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校とカリフォルニア大学バークレー校の研究チームが最近、単位体積当たりの出力を740%増加させ、効率よく電子機器を冷却する装置を開発した。同研究成果は2022年5月2日、「Nature Electronics」 に掲載された。

研究チームによると、従来の冷却装置には三つの問題点があるという。

第一に、ダイヤモンド製のヒートスプレッダなどの熱を放散する部品が非常に高価で拡張しづらいことが上げられる。

第二に、電子機器の上にヒートスプレッダを取り付ける必要があるが、多くの場合、熱のほとんどは電子機器の下で発生しているため、冷却効率が悪くなる。

第三に、ヒートスプレッダは電子機器の表面に直接設置することはできず、間に熱伝導材料を挟んで接触させる必要があるが、一般的にこの材料は熱伝導率が低い。

そこで研究者チームは、これら3つの問題をすべて解決する新しい方法を考え出した。主材料としてダイヤモンドよりもはるかに安価で熱伝導率の高い銅を使用した。銅を電子機器の上面、底面、側面全ての露出面を覆うようにコーティングし、熱伝導材料を不要にした。

「銅は熱伝導率が高いため、標準的なヒートスプレッダなどに広く使用されており、熱を効果的に放散できることは分かっていました。課題は、銅の導電性による短絡を防ぐために電子機器と電気的に絶縁することでした。私たちは、まず電子機器に薄いポリマーのコーティングを施し、その上に銅のコーティングを施すことでこれを解決しました」と、研究論文の筆頭著者であるTarek Gebrael氏は説明した。

fabcross for エンジニアより転載)

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