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農研機構、キャベツの芯を使った歯ごたえのある3Dプリント食品造形を可能に

(左)キャベツの玉を半分に割ったもの、(右)玉から切除・回収したキャベツの芯。

農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)が、キャベツの芯を使って3Dフードプリンターで歯ごたえのあるペースト状の食品造形を可能にした。

キャベツの芯は全体の15%程度を占めているが、可食部よりも硬いために、食品製造の加工段階で廃棄されることが多かった。しかしキャベツの芯は、食物繊維やビタミンCなどの栄養に加えて、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸など機能性成分(クロロゲン酸の場合は、体脂肪低減、食後血糖値の上昇緩和など)が含まれる。

本研究は、キャベツの芯に含まれる栄養・機能性成分を摂取できるだけでなく、その硬さを新たな食感表現の手段として活用することに着目。食品製造でのフードロスの削減に期待できるとしている。

これまでもキャベツの芯は、乾燥微粉末に加工され、さまざまな料理に添加して利用されてきたが、用途が限定的である上に、生鮮食品の食感が消失するという課題があった。

そこで本研究では、キャベツの芯から粒径1mm未満の乾燥粗粉末を調製。これが芯の硬さを生かした新素材となることを発見した。この粗粉末をペースト化してシリンジ先端から押し出すことで、粗い表面を持つ棒状の成形物を得た。またはキャベツ葉由来の微粉末などと混合して、3Dフードプリンターで採用されている内径2mmのノズルでも押出成形できることを確認した。

従来の野菜の微粉末を原料とした3Dプリント食品は、柔らかいペースト状になりやすく、3Dプリント食品の食感表現が狭くなるという課題があった。今回開発した歯ごたえのある素材を活用することで、3Dプリント食品の食感表現の幅が広がることが期待される。

同機構では今後、カット野菜製造企業などと連携して、今回開発した新素材の実用化を目指す。

キャベツ芯部由来粗粉末の活用イメージ キャベツ芯部由来粗粉末の活用イメージ

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