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国内の公共土木工事で3Dプリンターによる施工に成功

Polyuseと吉村建設工業は2022年9月8日、3Dプリンターを用いた公共工事現場での土木構造物の建造について、作業帯内部での直接印刷(3Dプリント)に成功したと発表した。

今回土木建造物の建造が実施されたのは、国道24号河原町における十条交差点での電線共同溝工事だ。同工事の発注者は、国土交通省近畿地方整備局。

施工箇所に対して直に3Dプリントする様子 施工箇所に対して直に3Dプリントする様子

今回は、交差点部に位置する、曲線の歩車道境界ブロック(縁石部材)を床掘りした空間内に、同社の建設用3Dプリンターを設置して、施工箇所に対して直に積層造形した。

施工場所について 施工場所について

また現場での3Dプリンターによる施工「オンサイトプリティング」の他、Polyuseの製造拠点の3Dプリンターで事前に造形しておく「プレキャスト施工」も合わせた計3カ所で施工を実施した。

歩車道境界ブロックは長く曲線が続くため、現場に適した部材を製造する必要性があった。なお、Polyuseによれば「本件は国土交通省近畿地方整備局管内における建設用3Dプリンターを用いた初の公共工事」であるという。

造形した構造物は印刷しながら左官を実施し、外見上で見える箇所のみ表面をならして仕上げられた。印刷と左官作業を並行して実施することで効率化を図っている。

施工箇所への直接印刷には床掘り範囲への3Dプリンターサイズの調整や、傾斜3%の造形環境での造形、外気温下での安定した造形などが課題だった。

現場に設置された3Dプリンタ 現場に設置された3Dプリンタ

3Dプリンターサイズの調整については従来の約3300mmのX軸長を約1300mmのフレームサイズに組み替え、掘り下げ範囲内に収まる仕様に変更。また、約3%の傾斜がある模擬環境を用意し造形検証を実施した。

本施工方法の導入によるメリットとして挙げられるのが、施工にかかる期間の短縮だ。現場で直接造形することで、一区間の作業を終えるまでの期間が従来の方法と比較して6割短縮された。

さらに任意の半径のサイズに合わせた施工が可能なため、現場に準じたサイズに可変的に対応できることも判明した。

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