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初の音速突破から75年——NASAは「X-59」で超音速飛行の民間利用を目指す

Credits: National Air and Space Museum

今から75年前の1947年10月14日、NASAの前身であったNACA(アメリカ航空諮問委員会)らは、世界で初めて「Bell X-1」で超音速飛行に成功した。そして今、NASAは「Lockheed Martin X-59」で再び音速の壁を超えようとしている。

航空機が音速を超えて飛行すると衝撃波が発生し、雷の轟きのような大音響(ソニックブーム)が響き渡るため、1973年以降、陸上での超音速飛行は禁止されている。しかし、超音速飛行の研究は続き、技術者らはソニックブームについて理解を深め、騒音を抑える機体を検討してきた。NASAが開発中の「X-59 Quesst(Quiet SuperSonic Technology)」は、ソニックブームの発生を抑えた静音超音速実験機だ。「初の超音速飛行は多大な成果を上げ、それ以来、我々は進歩してきた。我々が今していることは、これまでの数々の業績の積み重ねだ」と、X-59の設計と製造を担当するCatherine Bahm氏は語る。

予定しているX-59の実証試験では、居住地域の上空を飛んで人々の反応を調査し、結果を規制当局らと共有するという。NASAは、現行の規制が緩和され、朝食はロサンゼルス、昼食はニューヨークといったように、誰でも手軽に超音速飛行ができる未来を描いている。

「過去約50年間、旅客機はマッハ0.8付近から抜け出せず、どこにでもすぐに行けるというのは、今はまだ見果てぬ夢のようなものだ。X-59があれば、いつでも再び音速の壁を破れるだろう」と、Quesstミッションの統合マネージャーを務めるPeter Coen氏は語る。

2022年10月14日時点で、X-59の初飛行は2023年初頭を予定している。

fabcross for エンジニアより転載)

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