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植物を育てられる土壌構造物を3Dプリントする技術を開発

Photo courtesy of E. Baharlou

バージニア大学の研究チームが、植物を育てられる土壌構造物を3Dプリントする技術を開発した。建築設計/建築構造の3Dプリントは、グリーンビルディングへのコミュニティの関心と手頃な価格の住宅に対するニーズによって、新興市場となっている。同技術は、3Dプリントによるバイオ建築技術のシードとなる可能性がある。

研究チームは造形速度とコスト効率、低エネルギー需要に、現地で調達したバイオ材料を組み合わせて、3Dプリント技術をさらに一歩進めようとしている。具体的には、その土地の土壌や植物を水と混ぜて作った「インク」を使って3Dプリントする。必要なのは材料を移動し、プリント中のポンプを動かす電力だけである。造形物が不要になれば、リサイクルでき、インクの再利用もできる。同アプローチは、循環型経済と呼ばれる持続可能な開発の実践に合致する。

土壌ベースのインクの実験では、デスクサイズの3Dプリンターを用いて、土と種を連続した層でプリントする方法と、プリント前に種と土を混ぜる方法の2つを検討した。ソーダ缶サイズの円筒形の試作品を作ったところ、どちらの手法も有効だと分かった。

研究チームは次に、ドーム型のような、より複雑な形状の土壌構造物を3Dプリントする方法を考案した。まず、土壌混合物に添加物を加えず、プリンターヘッドやノズルから材料がどのように押し出されるか調べた。結果、土がノズルで圧縮されるため、空気は押し出され、土は水をより強く保持するようになることが分かった。つまり、3Dプリントした土壌構造物は、植物の成長を支持するが、少ない水でも生存できる植物に限定されやすくなる。

そこで、3Dプリントした土でどんな植物が育てられるか判断するため、土に保持されている水の相対利用度を、植物が水を引き出すのに必要なエネルギー量と合わせて調べた。有力候補として、マンネングサが挙げられた。マンネングサは生理機能がサボテンに似ており、ほとんど水がなくても生存でき、ある程度まで乾燥しても回復可能だ。

研究チームは、土と種で構成される幾何学的に複雑な構造物の3Dプリントを実証した。同研究成果の一部は2022年2月7日、「Additive Manufacturing」に掲載された。研究チームは最近、同3Dプリント技術を用いて、生分解性材料での研究にも取り組んでいる。

fabcross for エンジニアより転載)

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