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窓の断熱を改良する新型コーティングを開発

フランス国立科学研究センター(CNRS)と日本の物質・材料研究機構(NIMS)の共同研究チームが、窓ガラスの断熱特性を向上する金属系ナノ複合材料コーティングを開発した。塩化物イオンを含有するニオブとタンタルのクラスター化合物を、ポリビニルピロリドン高分子溶液中に分散させたナノ複合材料コーティング材料であり、ITOガラスにコーティングすることによって、可視光線は透過させる一方で、近赤外線および紫外線は遮断することができる。室内の冷房や暖房の効果を高め、省エネルギー化を推進できるガラス窓を開発できると期待される。研究結果が、2022年8月30日に『Science and Technology of Advanced Materials』 誌にオンライン公開されている。

建物における照明と室内冷暖房に必要なエネルギー消費は、世界のエネルギー消費全体の大きな割合を占めている。建物のガラス窓は、太陽光による照明効果と建物外の視野を確保する役割を果たしているが、一方で断熱壁と比較すると、近赤外線(NIR)による熱エネルギーの透過を遮断することが難しく、冷暖房効果を弱めるとともに、身体に有害で家具や内装材の日焼け劣化の原因になる紫外線(UV)を遮断する効果も小さい。そこでCNRSを中心とする研究チームは、可視光線は透過するがNIRおよびUVを吸収するコーティング材の開発が、省エネルギーおよび環境の持続性にとって重要であると考え、研究開発にチャレンジした。

研究チームは、塩化物イオン(Cl)または臭化物イオン(Br)を含有するニオブとタンタルのナノクラスター化合物{Nb5TaX12}(X=Cl,Br)を、ポリビニルピロリドン(PVP)高分子マトリックスにさまざまな割合で分散させたナノ複合材料溶液を、安価で無害な湿式化学法で準備した。そして、この溶液を透明導電性ガラスである錫添加酸化インジウム(ITO)ガラス表面にコーティングした。

ラマン分光分析法や質量分析法などでその光学吸収特性を調べた結果、可視光線を透過させる一方、NIRおよびUVを遮断することが確認された。更に、塩化物ベースのナノクラスターが最良の性能を示すとともに、NIRおよびUVの遮断性能は、ナノクラスター化合物の濃度と分散状態および酸化状態に強く依存し、これらのパラメータの制御によって可視光透過率TLと日射透過率TSの比TL/TSや、NIR遮蔽率SNIRをこれまでにないレベルで顕著に向上できることを示した。

研究チームは、このコーティングの実用化には、さらなる研究開発が必要だとしているが、省エネルギーおよび環境の持続性に貢献する窓ガラス設計に発展するものと期待している。

fabcross for エンジニアより転載)

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