自動制御ウイングセイルを搭載した、太陽光発電式カタマランヨット「ZEN50」
2022/12/09 07:00
新興電動ヨットメーカーZEN Yachtsは、全自動ウイングセイルを搭載した初の量産型レジャークラフト「ZEN50」を2022年3月に発表した。
ZEN50は、高性能カタマラン(双胴船)のスピード、大型モーターヨットの快適性、そして電気自動車のようなシンプルさと使いやすさを兼ね備えている。軽量なカーボンファイバーの船体に巨大なソーラールーフを組み合わせ、太陽光発電のピーク電力と排気量の比率を1対1以上(17kW/16t)とすることで、エネルギーの完全な自給自足を実現した。
航行速度6~10ノットでエネルギー消費が最小限に抑えられるように設計されており、海洋移動推進システムを開発する仏Ayroの全自動ウイングセイル「OceanWings32」と組み合わせると、電動モーターとウイングセイル併用時の最高速度は14ノットに達する。
また、大容量バッテリーバンクを搭載したエネルギーシステムにより、太陽光や風力に頼ることができない場合でも、安全に数日間機能するように設計されている。バックアップ用発電機も不要で、2022年3月から建造中の1号船は化石燃料を一切使用せずに航行可能となる予定だ。
Ayroは、2019年にOceanWings32をエネルギー自立型船舶「Energy Observer」号に搭載し、フィードバックを基にアルゴリズムを微調整してきた。画面をタッチするだけで操作でき、ウイングセイルの2つのパーツは、ボタンを押すだけでそれぞれ巻き上げたり下ろしたりできるほか、安全モードも備えている。
ZEN50の全長は15.7m、船幅は8.4mで、最大搭載人員は12名。ギャレーカウンターに加えて水回り設備があるキッチンを2つ、3つのダイニングエリア、最大4つのダブルスイートキャビン、二段ベッドとシングルベットの他に大型デイベッドを2台備えるなど、広々とした空間で快適に過ごせる。
また、コックピットとフライブリッジそれぞれにヘルムステーションがあり、主電気系統は2つに分かれていて、片方のハルに何かあっても船全体が正常に作動するよう設計されている。
(fabcross for エンジニアより転載)