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世界最大のテックイベント「CES 2023」が開幕——独自の技術と発想で注目を集める日本発のスタートアップ

国際見本市「CES 2023」が、2023年1月5日から4日間の日程でアメリカ・ラスベガスにて開催されている。

2020年以降コロナ禍の影響などで参加を見合わせる企業も多く、オンラインや規模を縮小しての開催となっていたが、今年は久々の通常対面開催となった。173カ国から3200社以上の企業が出展しているが、その中から特に注目すべき出展に絞り、国内と海外の2回に分けて紹介する。

ユカイ工学 呼吸するクッション「Fufuly」

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CES 2022で癒しロボット「甘噛みハムハム」を発表して話題を呼んだユカイ工学は、CES 2023で呼吸誘導型ロボット「fufuly(フフリー)」を発表した。同社によると、日常的にさまざまなストレスを抱える人たちが、もっと休息や休憩を意識して息を整えたり、自然と深呼吸ができるようなプロダクトを目指したという。

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東京大学が行っている呼吸や休憩に関する研究をベースに、ふれあっている仲間の呼吸につられる生物の性質「呼吸の引き込み現象」を応用した「Deep Breathing Technology」技術を開発。まるで呼吸をするようなクッションの伸縮から、抱えるだけで無意識に呼吸のリズムと深さの両方が同調される仕組みをプログラムに取り入れている。

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使い方は簡単で、スイッチを入れて抱き抱えるだけで、リラックスした呼吸が得られるという。また、CES 2023の同社ブースでは、いっしょに寝落ちしてくれるライトロボット「LIGHTONY」の展示も行っている。

AGRIST 「ピーマン自動収穫ロボット」

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AGRISTは、100年先も続く持続可能な農業を目指しているスマート農業スタートアップ。宮崎県新富町の農家らと開催している勉強会で出た要望を元に、農業の収穫の労働力不足の課題を解決する自動収穫ロボットを開発している。

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地面がでこぼこしているビニールハウス内の移動を考慮し、張り巡らせたワイヤー上をロープウェイのように移動する吊り下げ式を採用。AI画像認識を活用して収穫可能なピーマンの識別、収穫を行う。

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また、コンテナに入れた際に他のピーマンを傷つけることのないよう、果柄の近くでもう一度切断する2度切りを行うなど、農家のニーズに丁寧に対応しているところも評価したい。

Ashirase 視覚障がい者向け歩行ナビゲーションシステム「あしらせ」

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あしらせは、視覚障がい者の単独歩行を支援するナビゲーションシステム。スマートフォンアプリによる音声入力や案内、および靴に装着する振動デバイスで構成されている。開発するAshiraseは、本田技研工業の新事業創出プログラムIGINITION発第1号のスタートアップだ。

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同社によれば、一般的な音声誘導に頼るナビゲーションではなく、足から伝わる振動に任せたナビゲーションなので、聴覚を邪魔せず、周囲の安全確認に集中できることが特徴だ。

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デバイス内部にある複数のセンサー情報を使い、体の向きに対して、どの方向へ進めば良いかを案内する。独自技術によるナビゲーション情報の算出により、GPS誤差による不必要な方向転換を防いでいるという。どんな靴にも簡単に装着でき、そのまま脱ぎ履きが可能。2時間の充電で最大約12時間使用できる。

Diver-X 「Contact Glove」

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Diver-Xは、小中高生クリエーター支援する未踏ジュニアのスーパークリエータ出身者らが設立したスタートアップ。バーチャル空間内で物体やエフェクトに触れる感覚を忠実に再現できる触覚フィードバック機能付VRグローブ「Contact Glove」を展示する。

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Contact Gloveは、触覚フィードバックの実現に、一般的なVRグローブで使われている振動モーターではなく、形状記憶合金を使ったコイルを使っているのが特徴だ。指を包み込む形で筒状に加工されたフィルムと、コイル状に加工された形状記憶合金によって構成されている。コイルに電圧が印加されると、自己発熱し収縮、コイルの両端に接続された筒状のフィルムが、指の腹を圧迫する形で運動するという仕組みだ。これにより、単なる振動モーターよりもリアルな触覚フィードバックを実現している。

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同社によれば、魔法や炎を持っている感覚などを表現できるなど、単なるリアルの再現ではなく、新しい触覚のデザインが可能になるという。

BallWave 手のひらサイズのガス分析装置「Sylph」

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ガスクロマトグラフ(ガスクロ)は、混合ガスの種類と濃度を測定する分析装置だ。研究施設などで使われているガスクロはかなり大型の機器だが、「火星探査のためにロケットに分析装置を載せたい」というJAXAの要望を受けて、BallWaveが共同開発を実施したという。

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同社の独自技術である、球体の表面を伝播する表面波(SAW:Surface Acoustic Wave)を利用するデバイス「ボールSAWセンサー」が小型化のカギ。Sylphは、そうしたJAXAとの共同開発の中から生まれた、地上用携帯型ガスクロだ。

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同社によると、従来の分析装置に比べて約50分の1というポータブルデバイスを実現したことで、さまざまな環境におけるガス分析、匂いの分析から呼気・皮膚ガスの分析など、その場での測定が可能になるという。

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