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東北大、多細胞体の自己組織化を活用した分子ロボット製造手法を開発

東北大学が、多細胞体の自己組織化を活用した分子ロボットの新たな製造手法を開発した。

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東北大学大学院工学研究科ロボティクス専攻のアーチャー・リチャード・ジェームズ特任研究員と野村慎一郎准教授らのグループが開発した製造手法が、リン脂質と合成界面活性剤を疎水性スポンジにコーティングしたものを使った自己組織化技術だ。

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このスポンジに水を含ませると、脂質と合成界面活性剤の親水性と疎水性のバランスによって自己組織化し、スポンジ内部に水を染み込ませる。これを油に入れると、スポンジから水が飛び出して、自然にミクロンサイズの脂質で安定した液滴を形成する。この液滴を吸い出して水面に垂らすと、さらい大きな巨視的構造体へ自発的に集合する。このような工程によって直径約200μmのミクロンサイズの液滴集団から、約3cmの長さの構造を容易に形成することができる。

この手法は異なる種類の液滴でも適用でき、その場合ブロックを組み合わせたようなさまざまなパーツを持つ複雑な形状も形成できる。また、磁性ナノ粒子を加えることで、構造体全体を外部の磁場によって誘導できることも確認。磁性を示す部位と示さない部位が存在する構造にすることで、機能の分離や指向性を持たせることにも成功した。

研究チームによると、人工的にデザインした分子を使った巨視サイズの多細胞型ソフトロボットを製作する上での基礎技術となるという。研究成果は、2023年3月28日に表面科学分野の専門誌『Langmuir』に掲載される。

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