新しいものづくりがわかるメディア

RSS


アマ無線ビーコンを用いた英国の流星電波観測プロジェクト——ラズパイでビーコンを監視制御

ビーコンを使い、英国上空の流星を観測する流星電波観測プロジェクトをRaspberry Pi公式ブログが紹介した。

「UK Radio Astronomy Meteor Beacon - GB3MBA」は英国のアマチュア無線コミュニティーと電波天文学界による共同プロジェクトで、英国中央部に位置するシャーウッド天文台に流星電波観測用6mビーコン(コールサイン:GB3MBA)を設置している。

プロジェクトの目的は、流星の学術研究や市民科学研究を促進することに加え、宇宙への幅広い関心に基づいた学校向けSTEM関連プロジェクトを開発し、若者たちを電波工学や天文学に引きつけることだ。

UK Radio Astronomy Meteor Beacon - GB3MBA

流星物質は大気に突入して高度90〜100kmで大気との摩擦で燃え尽きる際に周囲の大気を一時的に電離させ、わずかな時間の間、電波を反射する領域(電離柱)を流星の飛跡に沿って生成する。このプロジェクトでは、流星飛跡から反射してきた電波をドップラー測定する。

UK Radio Astronomy Meteor Beacon - GB3MBA

ビーコン送信機の周波数は50.408MHzで、天文台の上空を中心とする直径約400kmの領域を鉛直上方方向にカバーする。電離柱から反射される電波は、約1200km離れた場所まで観測可能で、流星電波観測は天候に左右されないため、昼夜を問わず観測できる点が利点だ。

ビーコンはRaspberry Piで監視制御されており、出力電力、ダンプ電力、パワーアンプ(PA)電圧、PA温度、バックアップバッテリー電圧を監視するインターフェース回路を搭載している。プロジェクト公式サイトでビーコンの状態をリアルタイムで閲覧できるウェブインターフェースもRaspberry Piで出力しており、室内にいながらビーコンの状態を確認可能だ。

UK Radio Astronomy Meteor Beacon - GB3MBA

プロジェクトではビーコン送信機の構築と設置をフェーズ1と位置づけており、フェーズ1は2022年5月14日に完了した。進行中のフェーズ2では、正確なタイミングでI/Qデータをインターネット経由でストリーミングできるソフトウェア受信機を設計する。可能であれば、プロジェクト参加者がアクセスできる中央サーバーにデータをストリーミングする予定で、異なる場所での観測回数が十分あれば、流星の位置や軌道などをほぼリアルタイムで計算できる可能性があるという。

関連情報

おすすめ記事

 

コメント

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る