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自己修復性を備え、リサイクル可能な耐食性ポリマーを開発

Photograph: Marco D’Elia / ETH Zurich

スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH)の研究チームは、腐食の診断、自己修復、リサイクルが可能な耐食性ポリマーを発見し、PPM(ポリフェニレンメチレン)と名付けた。研究成果は『Polymers』誌に、2022年8月24日付で公開されている。

高層ビルや橋、飛行機、船、自動車など、人間が作るものは必ず腐食していく。そのため腐食対策には多額の費用が発生し、毎年世界全体で世界GDPの3.5%、金額にして約4兆ドルが腐食対策に費やされているという。

PPMは、塗料と混合して加熱して材料表面に吹き付けると固形化するため、コーティング剤として利用できる。PPMは損傷していない場所では蛍光を発し、穴や亀裂がある場所では光らない。またPPMは自己修復性があるため、コーティングに傷がついても自ら傷を塞ぐ。従来のコーティング剤は、自己修復のためには化学物質の添加が必要で、最終的に添加物が環境に放出されてしまうという問題があった。

さらにPPMは製品寿命が尽きると、完全に除去してリサイクルすることが可能だ。リサイクルしたPPMは、その機能や特性を失うことなく再利用できる。リサイクル率は95%と高く、実験では5回再利用できた。

PPMが発見されたのは偶然だった。10年ほど前に、研究チームが特殊な有機溶媒でナノ粒子を開発する研究をしていた際に、ある条件下で溶媒が重合し、固形化することに気づいたことがきっかけだ。この物質は高い熱安定性に加え蛍光を発する性質を持っており、研究チームは、その合成法を改良するとともに、このPPMの有用な用途を探し始めた。

その結果、PPMによる防食剤は、金属、特にアルミニウムを腐食から保護することが実験により明らかとなった。従来のエポキ樹脂系防食剤の10分の1の薄さで塗布でき、耐食性に優れている。研究チームは、PPMに関してすでに特許を申請しており、製品化のために大規模に製造、販売するためのパートナーを探している。

fabcross for エンジニアより転載)

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