新しいものづくりがわかるメディア

RSS


汚染水をろ過して発電もする多機能膜を開発

一般的に、雨水や海水、河川水、下水、排水のような汚染された水を利用可能な水質に浄化する過程は、多くのエネルギーを必要とする。しかし、韓国科学技術研究所(KIST)と明知大学校を中心とする韓国の研究チームは、汚染水を浄化しながら同時に発電できる多機能膜「electricity generation and purification membrane(EPM)」を開発した。研究成果は、『Advanced Materials』誌に2022年12月9日付で公開されている。

開発した多機能膜は、上部は発電するための導電性高分子、下部は水をろ過するための多孔質膜で構成されている。汚染された水を多機能膜の上部から垂直に通過させると、上部ではイオンが水平方向に移動することで直流電流が発生し、下部では水がろ過される。

KISTが公式Webサイトで2023年2月23日に発表した研究紹介によると、この膜はマイクロプラスチックや重金属粒子など10nm以下の大きさの汚染物質を、95%以上除去することができる。またわずか10μLの水で、3時間以上の連続発電が可能だ。

この多機能膜は、印刷によって製造できるため、膜のサイズに制限がない。また操作が簡単かつ製造コストや処理時間が少なくてすむため、実用化の可能性が高いと研究チームは考えている。KISTのJi-Soo Jang博士は、「水不足問題の解決と環境に優しいエネルギー生産を同時に実現できる新技術として、水質管理システムや非常用電源システムへの応用が期待できる」と述べている。

現在、研究チームは膜の改良に取り組んでおり、飲料水レベルまで浄化しながら発電する技術を開発している。

fabcross for エンジニアより転載)

関連情報

おすすめ記事

 

コメント

今人気の記事はこちら

  1. 2000年間「不可能」だったピタゴラスの定理の解法を高校生が発見
  2. ラズパイをESP32でエミュレート——Raspberry Pi互換ボード「ESP32-Pi」
  3. 特集は「ラズパイPicoで1500行 ゼロから作るOS」——CQ出版が「Interface 2023年7月号」を発売
  4. 土日で完成! 趣味のラズパイ ラズパイを使ってデジタル時計を作る
  5. 初心者でも簡単にコードが弾ける————コンパクトなコードマシン「AKT-0.1」
  6. 見た目は天然木材そのまま——IFTTT対応のスマートホームデバイス「mui」
  7. 心臓部はラズパイCM4——オープンソースのハンドヘルドPC「Decktility」
  8. ラズパイでレトロゲーム機を——コーラ缶サイズのミニチュアアーケードゲーム機を制作
  9. カーボンに標準対応する3DプリンターBambu Lab「X1-Carbon」など国内発売開始
  10. 趣味から仕事まで使える!Raspberry Pi(ラズパイ)の使い方とオススメキット

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る