四面体をつなげたカライドサイクルが、きれいに回り続ける構造を発見 九州大学
2023/04/27 08:00
九州大学は2023年4月24日、数学的解析によって、四面体をつなげたカライドサイクルを、たわむことなくきれいに回り続けさせることに成功したと発表した。
カライドサイクルは、元々6つの四面体を数珠つなぎにして環状にしたもので、表裏の方向にくるくると永遠に回すことができる構造を持つ折り紙だ。四面体の数を増やすこともできる。
カライドサイクルは、パンタグラフや折り畳み機構などと同じく、いくつかの剛体が稼働する関節を介してつながった「リンク機構」の一種。リンク機構の解析は数学および工学分野でも難しい問題の1つとされ、特に劣決定の性質を持つ場合は特に困難とされてきた。劣決定は、全関節の持つ自由度の和と剛体による動きの制約から見積もられる自由度よりも、実際の自由度が小さいリンク機構だ。
従来のカライドサイクルは、四面体の数が増えるとたわみやすく動きも不安定になってくる。今回の研究では、カライドサイクルの構造を数学的に解析。環状のリンク機構を離散的な曲線として定式化することで、たわむことなくきれいに回るカライドサイクルの構造を発見した。今回発見したカライドサイクルは、表裏の無いメビウスの帯と同じつながりのかたちを持つため、同大学では「メビウス・カライドサイクル」と名付けた。
メビウス・カライドサイクルは、1次元自由度を持つ初の劣決定リンク機構であり、さらに、回転時に弾性エネルギーが一定であること、角運動量を与えることなく向きを変えられることなどの特別な性質を持ち、2023年4月に特許を取得済みだ。
メビウス・カライドサイクルが持つ性質は、材質や剛体の形状に依存しない幾何学的性質だ。従ってスクリューや撹拌機などの比較的身近なものから、高分子などの微細なスケール、反対に宇宙アンテナなどの巨視的なものまでさまざまなスケールでの応用の可能性がある。また、さまざまな数学理論の組み合わせで記述されるため、数学的対象としても重要だという。
(fabcross for エンジニアより転載)