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MIT伝統のプログラミングコンテスト「Battlecode」——世界最高の頭脳が熱狂するデジタルロボットのバトルとは

Credits:Credit: Jason Kimball

マサチューセッツ工科大学(MIT)のStata Centerの一室で、学生たちが固唾を飲んで巨大スクリーンに映し出されるゲームを見守っている。戦いを繰り広げるのは数百のデジタルロボットたち。最新のeスポーツのようにも見えるこのイベントは、MITで20年以上続く伝統のAIのプログラミングコンテスト「Battlecode」だ。

Battlecodeは、各チームがプログラミングしたロボット部隊を1チーム対1チームで戦わせる、リアルタイム戦略ゲームだ。参加チームは個々のロボットはもちろん、軍隊全体をプログラムするためのコードを作成する必要があり、加えてゲームの仕様は毎年変更されるため、新しいルールやロボットの種類、アクションが生まれる。結果的にその年のゲームのパラメーターと戦闘の状況に最も適したプログラミング戦略かどうかが、勝敗を決めるのだという。

BattlecodeはMITの「Independent Activities Period (IAP)」の期間に合わせ、毎年1月初旬にソフトウェアとパラメーターを公開し、およそその1カ月後にコンテストを開催している。IAPとは1月初旬から4週間、通常の授業をなくし、幅広く用意されるクラスの中から自分の興味に応じて挑戦できるというユニークな制度で、MITの学生たちはIAPの一環として人工知能、経路探索、分散アルゴリズムなどを使用して戦略を立てる方法を学習できる。

これまで長い歴史の中で、数々の印象深いエピソードが生まれてきた。ある年には定義されたソフトウェア空間から抜け出す方法を見つけた学生がゲームを壊し(ちなみに彼は親切にも事前に主催者側にそのバグの存在を伝えた)、また、ある年には主催者が「ゾンビ」変数を定義したことで、あるチームはロボット1機だけを画面の隅に隠して残り全てをゾンビに変え、決勝に進んだ。

現在、Battlecodeでは高校生部門やインターナショナル部門も設けられ、世界中の学生がコンテストに参加できる。2023年はスポンサーに11社が名を連ね、賞金総額は2万ドル(約268万円)を超えた。今年のスポンサーのうち、Dropboxを含む2社はBattlecode経験者により設立されたほか、過去にはBattlecodeで出会った2人が設立した会社もあったという。MITはBattlecodeについて、学生にとってかけがえのないスキルと友情を育む場だとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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