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2000年間「不可能」だったピタゴラスの定理の解法を高校生が発見

アメリカで2人の高校3年生が、数学者たちを驚かせる発見をした。これまで不可能と考えられていた「三角法を用いたピタゴラスの定理の証明」に成功したのだ。St. Mary’s Academyに通う彼女らは、定理の証明を作成するという冬休みに出された数学コンテストの課題に答える形でピタゴラスの定理を証明し、アトランタで開催されたアメリカ数学会(American Mathematical Society:AMS)の春の南東部分科会に招待されて、2023年3月18日に学会で発表した。

「三平方の定理」とも呼ばれるピタゴラスの定理は、2000年以上の歴史を持つ数学の基本定理の一つだ。「直角三角形の斜辺の2乗は他の2辺の2乗の和に等しい(a2=b2+c2)」というこの定理を、日本では中学3年生で学習する。

ピタゴラスの定理の証明自体は2000年前からさまざまな方法で行われてきたが、三角法を用いた証明は不可能と考えられてきた。なぜなら三角形の角の大きさと辺の長さの関係を基本とする三角法は、ピタゴラスの定理に基づいた恒等式や法則が多いため、証明すべき結論が前提に含まれる循環論法になってしまうからだ。事実、これまでに多くの数学者たちが三角法を用いたピタゴラスの定理の証明を試みてきたが、全て失敗に終わっている。

しかし、Calcea JohnsonとNe’Kiya Jacksonの2人の高校生は、ピタゴラスの定理を用いない基本的な三角法の法則「正弦定理」を用いてピタゴラスの定理を証明した。彼女たちの証明は、ピタゴラスの三角恒等式であるsin2θ+cos2θ=1とは無関係だ。この証明を見たSt. Mary’s Academyの教師らはその成果が特別なものだと感じ、AMSに連絡を取り、学会発表へとつながった。彼女たちの発表後、AMSはこの証明を査読付き論文として投稿するよう声明を出している。

fabcross for エンジニアより転載)

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