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阪大、不安定性を利用した多足ロボットの機敏で効率の良い歩行の実現に成功

大阪大学大学院基礎工学研究科の青井伸也教授の研究グループは、不安定性を利用した多足ロボットの機敏で効率の良い歩行の実現に成功した。

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多足ロボットは、多くの足を持つために耐故障性や転倒回避性に優れており、さまざまな場所で活用できると期待されているが、環境と複雑に相互作用する多くの足の運動計画や制御は難しく、急旋回のような機敏な運動を行うことは困難だった。

青井伸也教授の研究グループでは、回転バネにより柔軟な体軸を持つ多足ロボットにおいて、そのバネ剛性をパラメータとするピッチフォーク分岐(パラメータの変化に応じて安定であった平衡解が不安定化し、別の二つの安定な平衡解が出現すること)によって直線歩行が不安定化し、剛性に依存した半径を持つ円歩行に遷移することを明らかにしていた。

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運動の不安定性を排除するように制御系を設計するのが一般的だが、今回、運動の不安定性を別の運動へと素早く遷移させる駆動力に利用するため、新たに体軸の回転バネ剛性を変化させる機構をロボットに搭載して、直線歩行の不安定化を自在に引き起こした。さらにそれによって遷移する円歩行の半径を目的とする場所に到達するように制御して、複雑な計算を必要とせず、エネルギー消費も少ない、多足ロボットの機敏で効率の良い歩行の実現に成功した。

これにより、惑星探査や災害現場のような人が立ち入ることの難しい場所など、さまざまな状況での利用に応用されることが期待されるという。研究成果は、米国科学誌『Soft Robotics』に、2023年5月29日に掲載されている。

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