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ウォータールー大、熱や電気に反応して色と形状が変化する繊維を開発

ウォータールー大学の研究チームが開発したこの新しい素材は、熱と電気の両方に反応する刺激反応材料(SRM:Stimuli-Responsive Materials)として注目されている。この新しい形状記憶ポリマー(SMP:Shape Memory Polymers)は、色や形を変えるだけでなく、刺激を取り除くと元の形に戻ることができる。斬新な設計の生地は、高度に合成されたポリマー複合材料とステンレス鋼を織り合わせた、柔らかい素材と硬い素材の結合の産物だ。

この画期的な技術を実現するために、研究チームは従来の織機と同様の装置を使用して、リサイクルされたプラスチックポリマーとステンレス鋼の糸を織り合わせた薄い生地を製造した。 以前の類似の素材と比較して、この新しい生地はより低い電圧で活性化されるため、より安価でエネルギー効率が高くなる。そのため、この材料は最終的に、生物医学ツールや環境センサーなどのより小型で携帯性の高いデバイスに統合される可能性があるという。

温度変化は、その利便性と簡便性から、形状や色が変化するスマート材料の研究において、最も一般的な刺激の1つである。しかし、正確な刺激を与えることは、通常非常に困難だという。そこで、SRMを電気にも反応させることで、遠隔操作でより局所的に反応させることを可能とした。

新しい生地に色を変える能力を吹き込むために、研究チームは、導電性のステンレススチールの上に、サーモクロミックマイクロカプセル(TMC:Thermochromic Micro Capsules)を織り込んだ糸を追加した。TMCは、熱を加えると外殻が半透明になって内部の色が見えるようになり、冷やすと再び不透明になって元の色合いに戻る。

これらの特徴から、TMCはウェアラブルデバイス、テキスタイル、センシング、偽造防止、整形外科デバイス、バイオミメティックなどの分野で優れた候補になると研究チームは述べている。バイオミメティック分野での可能性を示すために、研究チームは、スマートファブリックに熱と電荷を与えることで、トンボのような形を作り出すことに成功した。

研究チームたちの次のステップは、ロボット分野での応用のために、この生地の形状記憶性能を向上させることだ。その目的は、タスクを完了するために効果的に重量物を運び、移動することができるロボットを構築することだという。

今回の研究成果は、2023年2月19日付で『Nano-Micro Small』誌に掲載された。

fabcross for エンジニアより転載)

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