設計から生産/保守までを効率化するSaaS「PRISM」が正式スタート、スタートアップ向けプランも
Thingsは製造業企業向けの開発プラットフォーム「PRISM」の正式版の提供を開始した。
PRISMを用いることで、製品の部品表(BOM:Bill of Material)に対して、3D CADデータや図面、仕様書、試験データといったドキュメントファイル、Googleやkintoneなどクラウドサービス上の顧客対応記録などを連携できる。
PRISMは製造業企業が、開発、調達/生産、保守など部門ごとで管理するBOMリストをクラウドサービス上に集約するSaaS(Software as a Service)だ。バージョンごとのBOMを土台に、それぞれの部品に対して図面、仕様、原価、在庫、調達データ、品質情報、製造情報など、製品開発に必要なデータを紐付ける事で製品マスターを構築。部門ごとに管理するBOMリストを統一することで開発や調達の効率化を図り、生産性を高めることを狙いとしている。PRISM上のデータはプログラミング不要で構築でき、自社の要件に合わせたカスタマイズにも対応する。
PRISMは初期導入費用と月額利用料、オプション費用を組み合わせた価格体系で、月額およそ200万円からの利用を想定している。スタートアップに対しては個別の料金体系も用意している。
都内で開かれた記者発表会に登壇したThings 代表取締役の鈴木敦也氏によれば、製造業企業ではBOMの管理が部門ごとに分断され、それぞれが独自の仕様で運用されていることから情報の連携不足やコミュニケーションコストが課題となってきたという。BOMを運用する際には、情報システムを自社運用することで多くのコストがかかっているとも指摘。こうした課題に対して、PRISMを導入することにより、部門間の情報連携を円滑にし、システム運用のコスト低減が可能になるとしている。
Thingsは今後、対話型AIとの連携機能の開発を計画している。具体的には、「この材料の共同や熱伝導率、耐久性を知りたい」「この部品で過去に起きた品質トラブルを知りたい」「この商品の関連規制一覧と手配状況を知りたい」といった質問を入力すると、過去のデータなどから学習した情報を提供する機能だ。