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種子に学べ——土壌の状態をモニターする環境に優しいソフトロボットの開発

IIT-Istituto Italiano di Tecnologia

イタリア技術研究所(IIT)とカナダのトレント大学の研究チームが、種子の構造を模倣した、3Dプリント製の生分解性ロボット「I-Seed」を開発した。I-Seedの試作機を用いた実験では、バッテリーなしで、湿度に応じた形状変化により、土壌内を移動できることを実証した。

同研究成果は2023年2月1日、「Advanced Science」誌に掲載された。I-Seedプロジェクトは2021年に始動し、最終的には水銀の有無や二酸化炭素量、温度、湿度などの土壌状態をモニターできるロボットの開発を目指している。

ロボットの試作機は、南アフリカ産のゼラニウムと呼ばれる植物の種子構造に着想を得て、生分解材料で設計された。ゼラニウムの種子は、発芽に適した場所を求めて、自律して移動し、土壌に侵入する。この運動は、種子のらせん状のユニットが、外界の湿度変化に応答して構造を変えることで起こる。

研究チームは、種子の運動を模倣するため、天然種子の解剖学的構造を分析し、種子型ソフトロボットを設計した。そして、設計通りに動くロボットを作製するため、吸湿性が高く生分解性のある熱可塑性ポリマーを材料に選択し、電界紡糸技術と熱溶解積層法を組み合わせた3Dプリント技術を開発した。

開発したロボットは、環境の湿度変化により駆動する天然種子の動きを再現することに成功した。さらに、測定の結果、自重の100倍の重さを持ち上げられる、トルクと伸展力を有することが分かった。

さらに、ロボットにセンシング能力を付与できれば、バッテリー不要かつ無線で、土壌の探索/観測が可能となる。同技術は特に、モニタリングデータがない遠隔地において、データをその場で収集できる低コストのシステムとして活躍するという。また、研究チームは、I-Seedが持続可能で環境に優しいロボット工学の基礎になるとしている。

I-Seedプロジェクトのコーディネーター兼IITの副所長を務めるBarbara Mazzolai氏は、「私たちの研究は、自然の観察から始まり、生物の戦略や構造を模倣し、汚染やエネルギーの観点から環境負荷の少ないロボット技術を再現することを目指しています」と説明した。

fabcross for エンジニアより転載)

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