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流出油の処理やレアメタルの回収も——汚染水を飲料水に変えるスポンジを開発

ノースウェスタン大学の研究チームは、汚染水から鉛などの有害性重金属やコバルトなどのレアメタルを捕捉/回収する、再利用可能なスポンジを開発した。研究成果は『ACS ES&T Water』誌に2023年5月10日付で公開されている。1ppm以上の高濃度の鉛を含む汚染された水道水を、鉛の検出レベル以下まで浄化できる。

今回の研究成果は、研究チームがこれまでに開発した環境修復のために使用する高多孔質スポンジをベースにしている。論文の上席著者であるノースウェスタン大学教授のVinayak P. Dravid氏のチームは、2020年に流出油を除去するためにナノ粒子でコーティングしたスポンジを開発した。このスポンジは現在商品化が進められているが、Dravid氏は油流出事故の環境修復として石油の除去だけでは不十分だと考えている。なぜなら流出した油には、石油だけでなく水銀やカドミウムなどの重金属が含まれているからだ。

そこで研究チームは、再び極薄のナノ粒子層でコーティングされたスポンジに着目した。重金属の浄化を目的にさまざまなナノ粒子を試したところ、少量のマンガンを加えたゲータイトがコーティング材として効果的であることが明らかとなった。マンガンを添加したゲータイトナノ粒子は、安価で入手しやすく、人体に無害であるだけでなく、重金属を選択的に浄化するのに必要な特性を有している。

このスポンジは汚染水に沈めると鉛イオンを効果的に取り込み、アメリカ食品医薬品局(FDA)がボトル入り飲料水の基準として義務付けている、鉛含有量5ppbを下回る2ppbまで浄化した。

さらにスポンジは、弱酸性の水溶液に浸すことで鉛イオンを放出し、再利用できるようになる。今回の試験では、90%以上の鉛イオンの回収に成功した。重金属を回収する能力は、水源からコバルトのようなレアメタルを回収する技術として有用だ。レアメタルを水源から選択的に回収できるスポンジが開発できれば、不足しがちなレアメタルを二次電池などに再利用できる。

また研究チームは研究の一環として、コバルトやカドミウムなど鉛以外の金属を除去/回収するツールの開発に役立つ設計ルールを設定し、論文に掲載している。重金属用ナノ材料スポンジコーティング「Nano-SCHeMe」と呼ばれるこの環境修復プラットフォームは、他の研究者が特定の用途にどのナノ材料が最適かを判断するのに役立つだろう。

研究チームは、このスポンジが商業用水フィルターや環境浄化、水の再生や処理施設における追加のステップとして使用される可能性があると考えている。

fabcross for エンジニアより転載)

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