Hurtigruten Norway、太陽光と風力で進むゼロエミッションクルーズ船の計画を発表——AI操縦も搭載
2023/07/10 06:30
ノルウェーの海運会社Hurtigruten Norwayは2023年6月7日、同社初となるゼロエミッションクルーズ船の計画を公開した。「Sea Zero」と名付けられたこのプロジェクトは、2022年3月にその構想が明かされており、今回、12社の海事パートナーからなるコンソーシアムおよび研究機関SINTEFと共に、1年目の主要な成果を発表した。
このゼロエミッションの電動船では、港で充電可能な60メガワット時のバッテリーと風力発電技術を組み合わせる予定だ。ソーラーパネル搭載の3つの格納式自立翼が特徴の1つ。この自立翼は完全に伸ばすと全長50mに達し、総面積750平方メートルの風面で風を受け、1500平方メートルのソーラーパネルもバッテリーの充電に役立つ。
空気抵抗を減らしエネルギー消費を抑える流線型の船体は全長135メートル、270の客室を備え、500人の乗客と99人のクルーを収容するモデルとなっている。Hurtigruten Norwayが従来行ってきた貨物輸送もできるよう、貨物室も充実しており、自動車も輸送する予定だ。一方、人工知能(AI)による操縦を取り入れることで、ブリッジは航空機のコックピットのように大幅に小型化される予定だという。
さらにこの船では、乗客がモバイルアプリを通じて船室の換気操作や自身の水やエネルギーの消費量をモニタリングできるようになっており、乗客もエネルギー消費を最小限に抑えるための重要な役割を果たすことになる。その他にもさまざまな技術を搭載する。
Sea Zeroは現在2年目となり、バッテリー製造、推進技術、船体設計、そしてエネルギー使用を極限まで減らすことに焦点を当て、さらなる実験と開発に取り組んでいる。これには船の総エネルギー使用量の50%を占めるといわれる船内ホテル業務の新技術を開発することも含む。現行船と比較して、50%のエネルギー削減を目指す。
最終的に、2030年に最初のゼロエミッション船を完成させ、その後は全船舶をゼロエミッション船にする計画だ。
(fabcross for エンジニアより転載)