同社では2022年2月に福島県相馬市で行った高度30mの有人係留飛行試験の成功を皮切りに、ほぼ毎月、道内外の実験場で係留飛行訓練を繰り返してきた。2022年9月には北海道 余市町での実験で高度30mでのフリーフライトに成功。十分な安全が担保されたことを確認しつつ、高度については、同年11月に100m、2023年2月に400m、3月に1200m、4月に2800m超えを達成してきた。

今回の有人飛行試験は高度4000mを超えると生身での呼吸ができなくなるため、新型のT-9気密キャビンを採用した。新型キャビンは外気圧の影響を受けず、内部が一定の気圧に保たれる。また、酸素および二酸化炭素、水蒸気量など、内部空間の空気成分をコントロールできる生命維持装置が備わっている。 飛行は順調に推移し、及川パイロットが操縦するT-9キャビンは目標高度6000mに到達、打ち上げ地から26km先の平原に帰還。その間キャビンは正常に機能し、内部環境は維持された。今回の有人飛行試験では最終的に最大到達高度6072m、飛行距離26.35km、飛行時間131分を達成した。

同社では2022年2月に同社初の係留飛行試験を実施して以来、延べ35人以上の所員が実験キャビンに搭乗し、飛行訓練と実証データを収集および蓄積している。今回の6000m越え自由飛行試験の成功を経て、次は2023年8月中に高度12000m（成層圏）への到達を計画している。