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人間のバイタルサインを高精度に計測——生体適合材を使った「電子スキン」を開発

ロンドン大学クイーン・メアリー校とサセックス大学の研究チームは、分子ガストロノミーに着想を得た材料を用いて、ひずみ感度の点で類似のデバイスに勝るスマートウェアラブルデバイスを開発した。グラフェンと海藻を組み合わせたナノコンポジット・マイクロカプセルを利用した電子皮膚は、筋肉の動き、呼吸、脈拍、血圧を高精度でリアルタイムに計測できる。研究成果は『Advanced Functional Materials』誌に2023年6月28日付で公開されている。

分子ガストロノミーとは、調理を科学的に研究する学問だ。研究チームは、球状化(Spherification)という分子ガストロノミーの技術に着想を得て、液体グラフェンのコアを海藻/グラフェンのゲル層で取り囲む、グラフェンカプセルを作製した。球状化は、人工イクラや人工キャビアの作製に用いられている。

グラフェンカプセルは圧力に非常に敏感だ。圧迫や圧縮により電気的特性が劇的に変化するため、ネットワークに組み込めば非常に効率的なひずみセンサーとして働く。生体力学特性やバイタルサインを高精度かつリアリタイムに測定できる、皮膚貼付型スマートウェアラブルデバイスへの応用が可能だ。

これまでに研究開発されてきたナノコンポジットを基盤としたセンサーの多くは、非持続的な材料が用いられている。これらのデバイスは、使用されなくなったときにプラスチック廃棄物の一因となる。今回の研究では、分子ガストロノミーのコンセプトと、生分解性材料、最先端ナノテクノロジーを組み合わせることで、環境に優しいだけでなく、非持続的な材料で作るよりも優れた性能を発揮するデバイスの作製が可能であることが示された。

fabcross for エンジニアより転載)

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