ウミガメ目線の写真や動画を撮影——ラズパイペースのウミガメモニタリングキット
2023/08/24 06:30
Raspberry PiとRaspberry Piカメラモジュールを活用して、ウミガメの行動をモニタリングするシステムをRaspberry Pi公式ブログが紹介した。
英国に本拠を置く非営利団体Arribada Initiative(以下、Arribada)は、絶滅の危機にひんした野生生物を助けるために必要な機器の費用が障壁とならないよう、低コストのモニタリングツールを開発している。これまでに、動物の通過を検知するカメラトラップや、特定の動物が現れた場合にアラートを送信するデバイスなどの保護観察ツールを設計し作製している。
Arribadaの最初のプロジェクトは、アオウミガメの甲羅に取り付けてその行動をモニタリングするためのRaspberry Piベースのタグだった。タグを取り付けたウミガメが海を泳いで移動している間に、写真や動画を撮影し、位置データを収集する。収集データは、絶滅危惧種であるウミガメの生息数の定量化に加え、産卵場所の特定に役立ち、1年のうち特定の時期はウミガメが産卵する浜や沿岸地域は立ち入り禁止にすべきという主張を後押しし、ウミガメ保護に寄与することになる。
ウミガメに取り付けるタグは、人間の操作なしで確実に動作し、ウミガメが泳ぐ深さの海中でも使用できる防水仕様であるだけでなく、地元の研究チームにとって利用しやすい手頃な価格帯である必要もあった。最終的に、軽量な防水ケースにRaspberry Pi ZeroとRaspberry Piカメラモジュールを収納する形式を採用している。
Raspberry PiやRaspberry Piカメラモジュールが50ポンド(約9300円)未満という低価格で入手できることも大きな影響を与えた。これまでは必要なカメラツールが高価だったため、資金の確保が難しく1回しかモニタリングできないことも多かったが、Raspberry Pi Zero/Zero WとRaspberry Pi Cameraモジュールを使用することで、手頃な価格のキットを多く配置できるようになり、非常に広い範囲をカバーしてより正確に生息数を推定できるようになったという。
また、AIによる機械学習モデルを採用しており、録画する価値があるか、電源をスリープ状態に移行させたほうがよいかといった判断をデバイスが実行できるようにすることもできる。機械学習モデルを取り出して訓練することで精度の向上も可能だという。