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SF映画のアイデアを現実に——雹(ひょう)の嵐に投入する超小型センサー「ヘイルゾンデ」

Joshua Soderholm image

Michael Crichtonが脚本を書いて大ヒットした、「ツイスター」という1996年に公開された映画がある。この映画では、気象学者たちが小型気象センサー「ドロシー」を開発して、データ取得のために竜巻の中心直下に設置しようとする、ストームチェイサーたちのストーリーが描かれた。これは架空の物語だったが、オーストラリア気象局の研究者が、カナダのウェスタン大学のノーザン・ヘイル・プロジェクト(Northern Hail Project: NHP)と協力し、アルバータ州の雹嵐に「ヘイルゾンデ」と呼ばれるセンサーを初めて放ち、SF映画を現実のものとした。

1個24gの小型探査機は風船に取り付けられ、嵐の上昇気流の中に放たれた。放たれた探査機は雹のように振る舞い、嵐の中を移動する雹がたどる経路や雹が成長する条件を測定した。探査機はまた、「メソサイクロン」とも呼ばれる自転する嵐の周りを半円状に移動し、著しい氷の成長も測定した。

オーストラリアの雷雨科学者で、NHPの事務局長Julian Brimelow氏の長年の共同研究者であるJoshua Soderholm氏によると、この研究は、この種の装置を作成することが技術的に可能かどうかを確かめるための、週末のプロジェクトとして始まった。嵐の中の極限状態で耐久性を持たせるためには、多くの技術が必要だったという。Soderholm氏は、ペンシルベニア州立大学、クイーンズランド大学、スウェーデンの気象観測会社Sparv Embeddedの研究者らとともに、2021年にこの技術を開発した。

激しい雹が降った日、Soderholm氏はヘイルゾンデシステムをNHPの機器とともに配備し、雹が成長する条件を測定した。数日間運に恵まれなかったが、2023年7月24日午後、アルバータ州エドモントン東方で巨大な雹を降らせるスーパーセル(上昇気流が回転する激しい嵐)を捕捉し、嵐の中に2つのヘイルゾンデを打ち込むことに成功した。ヘイルゾンデはスーパーセルに捕捉された後、風船から切り離され、時速120kmを超える風によって7km以上の高さまで舞い上がり、本物の雹と同じように上昇を続けた。

「嵐の目からデータを収集することは、気象研究において困難を極める取り組みです。このユニークなデータセットは、雹嵐のモデルをシミュレートする能力を向上させ、嵐の間に雹がどのような経験をするかを直接検証することを可能にします」とNHPのBrimelow氏は語っている。

fabcross for エンジニアより転載)

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