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30ドルのドラッグセイルで軌道を離脱——米大学生、スペースデブリにならない人工衛星を開発

スペースデブリと呼ばれる宇宙ゴミは、衛星軌道上の活動の安全性と持続可能性を脅かす深刻な問題になりつつある。アメリカ航空宇宙局(NASA)によれば、国防総省の宇宙監視ネットワークによって追跡されている軌道上のデブリは、現在2万7000個以上あるという。一般的に人工衛星はその役目を終えた後も平均して25年間、その軌道を周回し続けるとされており、これが宇宙ゴミとなる。この問題を解決する方法として、任務完了時に自身で軌道を離脱し、大気圏に再突入するしくみが考えられている。

アメリカのブラウン大学の学生チームが、低コストのキューブサットを設計/製作し、任務完了後に短期間で軌道を離脱させることに成功した。

「SBUDNIC」と名付けられたこの小型人工衛星は、これまで宇宙に送られた衛星の中で最も小さく、最も安価な衛星のひとつであり、費用はわずか1万ドル(約147万円)程度だ。キューブサットの規格に従い、サイズは10×10×10cmの立方体で、48個の単3電池など、入手しやすい材料を使って作られている。2023年5月、SpaceXのロケットに搭載されて、ライドシェアリングミッション「トランスポーター5」の一環として宇宙に打ち上げられた。

SBUDNICの主な特徴は、カプトン・ポリイミド製の「ドラッグセイル」だ。高度約520kmで傘のように展開し、希薄な大気の抗力を受けることによって、衛星は予想よりも早く減速し、445日間の軌道周回後、地球大気圏へ再突入し、トルコ上空で燃え尽きた。再突入により大気圏で燃え尽きる前の最終高度は146kmと記録された。太陽活動が急速な降下に影響した可能性もあるが、正確にはまだ調査中だ。

2022年にブラウン大学を卒業し、SBUDNICのリード・プログラム・マネージャーを務めるDheraj Ganjikunta氏は、このプロジェクトと、より高価で複雑な他の宇宙ゴミ対策とを対比させた。SBUDNICは低コストでシンプルなアプローチで宇宙ゴミの問題に取り組んだとし、30ドル(約4000円)のシンプルなドラッグセイルを衛星に取り付け、軌道上の寿命を縮めることができたのは画期的なことだと述べている。

fabcross for エンジニアより転載)

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