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真の「ゼロエミッション」で製造されるセメントが、工業規格のASTMに準拠

セメント製造の米Sublime Systemsは2023年9月15日、同社のセメント「Sublime Cement」が、工業規格である「ASTM C1157」指定を取得したと発表した。化石燃料や石灰石を使用しない製造プロセスにより、従来品の代替材料として、CO2排出量の削減に寄与する。

この標準は、強度発現性、耐久性、低収縮性、ひび割れなどに関する性能要件を規定している。今回、同社がASTM C1157の認証を取得したことにより、Sublime Cementは、米国および国際的な主要建築基準法に準拠して使用できるようになる。

同社によると、世界全体のCO2排出量のうち、既存のセメント生産施設による排出量は8%を占める。そのうち約半分は、石灰石を石灰に分解する「キルン炉」を加熱する際の、化石燃料の燃焼によるものだ。残りの半分は、石灰石が窯の中で化学分解する際に排出される。

同社の新製造方法は、この2つの工程を省いた点が特徴だ。再生可能な電力を使用した電気化学的アプローチにより、多様な非炭酸塩原料からカルシウムとケイ酸塩を抽出し、低温で混合してセメントを製造する。

この方式は、CO2排出量を削減するための炭素回収/貯留(CCS)のインフラを必要としない。すなわち、カーボンオフセットに依存する既存のネットゼロとは異なる「true-zero」のプロセスを実用化したかたちだ。

同社は、生コンクリート業者、コンクリート請負業者などの顧客候補と協議を進めて、2023年第4四半期に最初の現場打設を計画している。また同社の施設は現在、年間100トン以上のセメントを製造する能力があり、2025年に商業プラントの試運転を開始する予定だ。

fabcross for エンジニアより転載)

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