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電波を出さない箱が世界最大級の電波望遠鏡に電力を供給

Credit ICRAR

オーストラリアに拠点を置く国際電波天文学研究センター(ICRAR)は、2023年9月11日、豪カーティン大学と西オーストラリア大学(UWA)との合同研究開発チームが、電波を発することなく電波望遠鏡に電力を供給する「SMART(Small Modular Aggregation RFoF Trunk) box」を開発したことを発表した。SMART boxは、西オーストラリア州にあるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)マーチソン電波天文台の低周波SKA(Square Kilometre ArrayLow frequency:SKA-Low)望遠鏡に不可欠なコンポーネントだという。

SMART boxは、SKA-Low望遠鏡のアンテナ13万1072基に電力を供給し、空から受信した信号を収集してオフサイトで処理する。ICRARのエンジニアリング・オペレーション担当プログラム・リーダーであるTom Booler氏によると、SMART boxはアンテナの間に置かなければならない唯一の電気装置であり、アンテナのような精密機器に干渉せずに作動させるというのは、かなりの難題であったという。

Booler氏は、「SKA-Low望遠鏡は、何十億年もの時間をかけて宇宙を旅してきた、非常に微弱な信号を受信します。そのような信号を検出するために、SKA-Low望遠鏡は現代技術による干渉から遠く離れた、手つかずの電波静寂地帯に建設中です。天文台の敷地内はとても電波が静寂なので、私たちの装置のような電子機器がアンテナの近くにあると、最大の干渉源となる可能性があります。つまり、私たちのプロジェクトは、オーストラリアのSKAサイト全体で最も厳しい電波放射要件を満たす必要があったのです」と、その苦労を語っている。

ICRARのチームは、干渉を最小限に抑えるため、電波を発することがない特別な部品の調達を重ね、10年の歳月をかけて最初のセットであるSMART box24個を設計して製作した。そして、南アフリカにある、専用の電磁波試験施設でSMART Boxをテストしたところ、電波天文学における最高水準で見事に合格した。

そして、競争入札の結果、オーストラリアのパースに本社を置くAVIが、SKA-Low望遠鏡の全設備用に最大1万2000個のSMART boxを製造する契約を獲得した。Booler氏は、SMART boxが西オーストラリア州で製造されることは、宇宙産業におけるオーストラリアの優位性を示すものであり、将来的に活用できるものであると述べている。

fabcross for エンジニアより転載)

ICRAR-designed SMART Boxes to power SKA-Low telescope from ICRAR on Vimeo.

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