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中国製造業のロボット導入率はアメリカの実質12倍——米シンクタンク調査

アメリカのシンクタンクInformation Technology and Innovation Foundation(ITIF)は2023年9月5日、各国の製造業での賃金水準調整後のロボット導入率を発表した。それによると、中国におけるロボット導入率は、賃金水準調整後ではアメリカの12倍に上ったという。

ロボットは生産性や国際競争力を高める重要なツールであり、各国の導入率が経済性の指標として度々引き合いに出される。導入率のベンチマークとしては、一般的に製造業に携わる従業員に対するロボットの割合が使用される。しかし、ロボット導入の主な目的がコスト削減であることを考えると、人件費が高いほど導入費の回収期間が短くなるため、当然賃金の低い国より、高い国の方が自然と導入率が高くなる。そこで、ITIFは各国の賃金差による回収期間を調整した上で、ロボット導入実態の比較を試みた。

まず、国際ロボット連盟(IFR)による賃金調整前の各国のデータを見てみると、2021年時点では韓国が製造業の従業員1万人当たりに1000台のロボットを導入しており、世界最大の産業用ロボット導入国だった。次いでシンガポールが670台、日本とドイツが約400台、中国が322台だった。

しかし、これを賃金調整後で見比べると、全く違う様相が見えてくる。ITIFではまず、各国の賃金水準に基づいて、予想されるロボットの割合を算出。この予想に対して実際に何倍のロボットが導入されているかで、各国における導入実態を比較した。その結果、賃金ベースでの予想に基づく台数に対し、中国では8倍以上のロボットが導入されていた。一方、アメリカでは予想台数を割り込み、わずか0.7倍ほどに留まった。

この差についてITIFは、背景に各国政府の対応の違いがあると見ている。中国は「ロボット産業発展計画」において、ロボットの利用を2025年に10倍にすることを目指し、政府は企業のロボット導入に対し、積極的に補助金を支給している。一方、アメリカでは政策立案者はロボットが雇用機会を奪うことを批判するばかりで、ロボット導入には最小限の資金しか提供していないというのだ。

ITIFは過去10年間低迷が続くアメリカ製造業の現状を打開するためには、ロボット導入の促進が不可欠だとし、政府による資金的援助の必要性を訴えている。

fabcross for エンジニアより転載)

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