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わずか20分で廃バッテリーから98%の金属材料をリサイクルする技術を開発

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高性能充電池に必要なレアメタルは、クリーンエネルギー技術の成長とともに今後数十年にわたり増加する見込みだ。アメリカのライス大学の研究チームは、「ブラックマス」と呼ばれるリチウムイオン電池を熱処理した粉末から、直接金属を回収する技術を開発したと発表した。わずか20分で98%以上の金属を回収することができ、コストも低い。コバルトやニッケルのようなレアメタルは、天然鉱石よりもリチウムイオン電池に含まれる割合が高い。そのため、使用済みバッテリーのリサイクルは採掘による環境への影響を軽減するだけでなく、経済的にも魅力的と言えるだろう。研究成果は、『Science Advances』誌に2023年9月27日付で公開されている。

バッテリーのリサイクルは、現在大きな問題となっている。電子機器のバッテリー廃棄物が年間9%の割合で増加しているにもかかわらず、95%のバッテリーはリサイクルされていないのが現状だ。

研究チームが開発したバッテリーリサイクル技術は、「フラッシュジュール加熱」という技術を応用している。正極と負極の材料が混合した状態であるブラックマスを数秒間、2100K以上に加熱することにより、バッテリー金属上の不活性層を除去し、酸化状態を低下させて、低濃度の酸で溶解できるようにする。

強力な酸を使用する従来法と比較して、新しい手法は二次廃棄物である酸性浸出液の排出量を大幅に削減するだけでなく、リサイクルにかかる時間を約100分の1に短縮することが可能だ。さらに従来法では金属の溶解に24時間必要だが、新手法では20分もかからない。研究チームによると、エネルギー、水、酸の消費を削減し、二酸化炭素排出量を減らすことで、バッテリー廃棄物のリサイクルコストを削減できる可能性を秘めているとしている。

fabcross for エンジニアより転載)

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