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骨組織を再生できる可能性を持つ材料の開発

CREDIT: WILLIAN FERNANDO ZAMBUZZI/UNESP

ブラジルのサンパウロ州立大学の研究チームが、低酸素状態による骨細胞の分化を促す、再生医療向けの材料を開発した。同素材は、骨再生や骨移植、歯科インプラントなどの医療技術の発展に貢献するという。

同研究成果は2023年8月23日、「Journal of Biomedical Materials Research」誌に掲載された。

骨折患者や腫瘍切除患者に施す移植手術は、通常、患者自身の骨片を使用する。しかし、移植手術に不可欠な自家材料を入手するには追加の手術が必要であり、感染のリスクを伴い、回復に要する時間も長くなる問題がある。

同研究の目標は、骨組織に関連する手術に伴う副作用を防ぎながら、治療費の削減と入院期間の短縮、患者の回復率の向上につながる材料を開発することだ。このような材料は、臨床試験や実際の使用において安全でありながら、骨の複雑な構造を模倣できる材料でなければならない。

同研究では、モネタイトという物質にコバルトを添加した材料が用いられた。モネタイトは、人間の骨組織と似た構造を持つリン酸カルシウム化合物であり、人工関節のコーティングや注射用骨セメントなどの複数の医療用途に用いられている。コバルトは人体組織の低酸素状態を促進するため、酸素不足を補おうと組織内の血管数が増え、間接的に骨細胞の分化効果があることが期待できる。

そこで、研究チームはコバルト添加モネタイトを合成し、骨細胞を用いた実験において、同材料が低酸素環境を通して、血管を増幅して骨細胞の分化を誘発することを示した。

さらに、医療機器の主要な生物学的評価基準(ISO 10993:5)に基づく細胞毒性試験により、同材料が安全であることを確認した。

動物実験を含む前臨床モデルによる同材料のさまざまな分析を通して、将来の骨再生医療分野への応用が期待できる。

サンパウロ州立大学のZambuzzi教授は、「私たちは、動物実験における最も厳格な倫理原則を遵守しながら、人々の生活の質を向上させる新しい生体模倣材料の開発を進めています」と説明した。

fabcross for エンジニアより転載)

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